少し前に読了した『ゴールド』(藤田和子、アン・メイジャー/小学館フラワーコミックススペシャル)についても覚えてるうちに書いておきます。
女性週刊誌に連載された作品ですが、前作の『シルバー』の方がラブシーンの露出度が高いかな。(慣れちゃったせいでしょうか)
ロマンチック・サスペンスというのは、整形が大好きでして、同じ作者の原作付前作『シルバー』でも、やっぱり主人公が整形してました。
凡庸な顔立ちの女性が整形で美しく生まれ変わって男に復讐する……という『シルバー』とは違って、今回の主人公は、勝手に整形されてしまいます。
ブロンテは不慮の事故で顔に大怪我を負い、天才整形外科医・クインに治療を受ける。半年後、ようやく見ることを許された鏡の中には、亡き美貌の母親の顔があった。
クインは、死んでしまったブロンテの母の再現を夢見、前にも同じ顔の女を整形によって作っていた。その女・シャンタルは、ある理由で顔を変えたのだが、同じ顔のブロンテを利用できないかと策略をめぐらす。シャンタルの夫・マーズは、かつて、花婿に逃げられたブロンテが偶然に出会った男であり、事故の前に再会し、不思議な絆を感じていた男だった……。
と、まあ、そんな偶然あるんかい!というストーリーなわけですが、おなじみの高い画力でするすると読まされてしまうロマンスです。
シャンタル(ミスチーフ)が、これでもかこれでもか、と、悪巧みをして、ひっぱっています。
同じ顔の二人の女、片方は天使の心、片方は悪魔の心――という図式ですね。
個人的には変態医師・クインにもう少しがんばって欲しかったところ。
同じ顔を二つ作るほどの偏執狂なのに、いまいち粘りが足りません。
『ゴールド』と『シルバー』を比べて、『シルバー』に軍配が上がるのは、フリルのブラウスが大真面目で似合う天使の顔の大悪人・チャールズの存在があるからです。
やっぱりサスペンスものは、悪役が強烈な方が面白いものなんですね。
なんだか今さら、とか、いわれそうですが、読了しました。『南国少年パプワくん』(柴田亜美/ガンガンコミックス)。
実は私、続編の『PAPUWA』は読んでまして(ほら、月刊少年ガンガン読んでたからさ……)、『南国少年…』を読んで、やっとキャラの相関関係がわかりました。
とにかく、柴田亜美のギャグセンスときたらハイブロウすぎる!(笑)
今、読んでも、そんなに古く感じないのは、柴田亜美の前に柴田亜美なく、柴田亜美の後に柴田亜美がないせいでしょう。(つまり独特といいたいわけだ)
『PAPUWA』の時も「訴えるよ、そして勝つよ」とか、かなり好きだったもんなあ。
しかし、『南国少年…』は、後半、思ってもみなかったシリアス展開になり、予想もつかなかった切ないエンディングでびっくりです。
あんなイヤなナマモノ満載のマンガで、こんな胸の痛くなるようなラストなんて誰が想像できますか!(笑)
兄貴と変態なナマモノ満載が許せれば、超オススメなマンガです。(でも、万人に勧められないところが、またツボ)
『シャングリラ病原体・上』(ブライアン フリーマントル、松本 剛史訳/新潮文庫)読了。
南極のアメリカ観測基地からの連絡が途絶えた。現地に急行した救助隊は、無残に老衰死した4人を発見する。深くきざまれたしわ。肝斑。抜け落ちた白髪。白濁した眼球。36歳だった科学者が、5日間で90歳の老人へと激変していた。北極の英仏基地、シベリアのロシア基地でも同様な事態が発生。奇病の原因は未知の細菌か?あるいは新型の生物兵器か?巨匠が挑む近未来サスペンス。
この内容紹介を読んだら、未知の病原体と戦う科学者を描いた近未来サスペンスを想像しますよね?
私はとりあえずそうでした。
しかし、この本のメイン(少なくとも上巻)は、政治家達のパワーゲームだったのです。
とにかく、この本に出てくる人間は男も女も上昇志向が強い。自らを駒としてチェスのゲームを戦っているよう。もちろん、いつか王様になるのが目的です。
この本が出版された当時は、SARSが大流行していました。その前が鳥インフルエンザ。テロに炭疽菌が使われたことも、記憶にまだまだ新しい。
今、何が恐いかというと、世界規模のウィルスの伝播です。
そんなところを上手くついた作品ではあるのですが……科学者さえも例外ではないサル山のボス志向が、ちょっとオナカがいっぱい(笑)。
とにかく、政治家なんて腹芸に腹芸を重ねて生きているのがわかりました。
下巻は出来たら、キャビネット内での戦いではなくて、ウィルスとの戦いを重点的に読みたいところ。
なんとなく気になったので購入。『キングスウヰーツ(1)』(大石普人/ヤングサンデーコミックス)。
食べる人を王様(しあわせ)にするケーキを作るために、全国のケーキを食べ歩くアラタ。
7歳の誕生日の前に不慮の事故にあってしまった父が、最後に働いていた店で働くことになり、その店で一人前のパティシエになるべく奮闘する。
カテゴリ分けすると、人情話の色が濃い「教養もの」でしょうか。
ケーキって、実は美味しそうに描くのがすごく難しくて、特にチョコケーキやモンブランなどのお色地味系は難しいのに、マンガの中のケーキはどれもこれも美味しそうです。
こうした、ある意味ケーキが主役のマンガでは、本当に大切なことなので、もっともっと美味しそうなケーキが見たいなあ。
しかし、シュークリームはクリームが温かい方が美味しいのは知りませんでした。
私の好きなパン屋さんのカスタードクリームは、一晩置いた方が美味しかったりするので、寝かした方がいいのかと思ってたよ……。
まあ、こういうのがわかるのが、教養マンガのいいとこですね(笑)。
『パンプルムース氏のおすすめ料理』(マイケル ボンド、木村 博江訳/創元推理文庫)読了。
グルメ・ガイドブックの覆面調査員パンプルムース氏は、元パリ警視庁刑事。味にうるさい愛犬ポムフリットは、元警察犬。とあるホテル・レストランの味をチェックに訪れた珍コンビに出された皿には首が! 命と貞操まで狙われながらパンプルムース氏が挑む怪事件。
『くまのパディントン』の作者が、大人たちに贈る超傑作グルメ・ミステリ!
私は『くまのパディントン』が好きなのですが、それは物語の部分部分にほんのりとシニカルな風味があるからです。
メアリー・ポピンズなんかも、非常に腐っても皮肉屋のイギリス人なところがあって、そんな物語たちが昔から好きです。どちらも小学生の頃から読んでいた本だから、私もこまっしゃくれた子供ですね(笑)。(まあ、子供はそんなに夢と魔法でばっかり生きてるもんじゃないし)
さて、この本は、グルメミステリと紹介されてますが、ミステリと思って読むと肩透かしを食うかもしれません。
この本は、ミステリの「余裕」を楽しめる大人向けのファンタジーです。
だから、人間以上にレストランの料理の味を判別してしまう犬のポムフリットも、昔は艶福家で鳴らしたパンプルムース氏が貞操を守るための奇妙キテレツな手段も手も、余裕で楽しんでしまうのが大人のたしなみです。
ちょっとえっちな描写も、余裕で微笑みましょう。
しかし、ポムフリット、かわいいなあ。
老犬ホーム送りになりそうなところをパンプルムース氏に救済されたという過去あり。
体重45~50kgのブラッドハウンド……と、かなり大きい犬種ですね。
警察犬としては最高の栄誉「黄金の骨賞」を受賞しているというエリート。
ポムフリットのために、私は続刊も読むつもり(笑)。
最初にもとめさんところで見て、さかのぼって未完さんのところを見て、「ああ、どうして誰も私にまわしてくれないの。回して欲しいわけじゃないけど、なんか寂しい」と思ったら、さらにさかのぼった、じくモンのところで渡されていたという。
TBされてなかったの気がつかなかったよ。お互いブログなんだからTBしようよ!(笑)
そんなわけで、フェチバトンなのですが、なんだかフェチというほど根性ある人間ではないので、似たようなテイストの「萌えバトン」に答えておきます。(勝手)
萌え属性を正直に告白せよ (妹属性とか眼鏡属性とか)
2次元なら眼鏡かな。
3次元は別に眼鏡萌えではないです。なぜなら目のいい人が好きだから。
萌え衣装を答えよ (メイド服とか背広とか)
作業服。ツナギとか、なんか燃えます。(萌えより燃えです)
萌え小道具を答えよ (包帯とか首輪とか眼帯とか銃とか)
ナイフかなあ。たまに木屋でうっとりと刃物を見てる自分もアレですが。
萌え仕草を答えよ
唇に指で触れるとか。
萌え場所を答えよ
あんまりこだわりありません。
次に渡す人
特に指名しませんが、興味がある方は勝手に拾っていってくださいね。
今は休業中というか、このblogに統合された形になってしまっていますが、私が以前、chezというHPを作ったのは、絶版に抵抗するためでした。
私の好きな海外翻訳の本は、大変絶版になりやすいジャンルです。
ちょっと前に本屋で見かけたのに、読みたいと思ったら、もう絶版になっていた。
そんな思いを何度もしました。
好きな本を好きな時に読みたい。
それが許されないのが昨今の出版事情で、その強烈な危機感は、大した影響力も期待できないくせに私にサイトを開設させたのでした。
さて、本馬鹿の人なら一度は行ったことがあるだろうサイト、復刊ドットコム
。
復刊ドットコムのサイトの中のブログ
を元に、その誕生から復刊交渉の苦労や裏話をまとめた『復刊ドットコム奮戦記』(左田野渉/築地書館)を読んでみました。
数年前に三銃士の映画を何本か見た時に、デュマの原作が読んでみたくなりました。
ネットで検索してみたら、復刊ドットコムのブッキングから発行されていました。
私は、その値段を見て、「高いなあ」と思ったことを覚えています。
私が高いと思ったのは、講談社文庫でダルタニアン物語が出ていたのを知っていて、文庫の値段と比べてしまったからです。
でも、この本を読んで納得が行きました。
絶版というのは、売れに売れている本がなるものでなく、それなりに理由があってなるもの。たとえ、復刊しても爆発的な部数は出ないものなのですね。小部数発行の本が高いのは当たり前です。
全巻ものの出版社リスクというのも、この本ではじめて知りました。
全巻ものは、全巻が均一に売れるわけじゃないのに、全巻在庫を確保しておかなければいけないという、難しさがあったのですね!
そりゃ、そうだよなー、石ノ森章太郎萬画大全集(全500冊)だって、一部だけしか買わない人だっているしなあ。(金銭面ではどうにかなるとしても、全500冊の置き場所だって必要だし)
そんな事情も含めて、「あの本が読みたいのに、本屋に売ってない」と、寂しい思いを一度でもした人なら興味深く読める内容だと思います。
あとは、ファンというのはすごいなあ、と、あらためて思いました。
復刊の見込みのない本もありますが、復刊になった本の多くはファンの人が投票して、あるいは原本や情報を提供して復刊にこぎつけたもの。
ひとりの力は大したものではないけれど、そのひとりが力を出さなくては何もはじまらない。
そんなわけで、私は今後も、ネットの海の片隅でぼそぼそと書物に対する愛を叫んで行きたいと思います。
『イエスの古文書・下』(アーヴィング・ウォーレス,宇野 利泰訳/扶桑社ミステリー)読了。
私の予想と、物語のテイストが違っていました。(上巻で、早々と福音書の内容が書かれていた時に気がつくべきだったのですが)
この物語は、もちろん、新発見の福音書の衝撃の内容や真贋判定の面白さも読みどころなのですが、本当の主題は、信仰をよりどころにできない人間が、どう生きていくか、というテーマなような気がします。
主人公のランダルは、信仰厚い牧師の父を持ちながら、宗教に救いを見出せない姿が冒頭に描かれます。
宗教にルーズな日本人からすると、
「神様なんて信じてなくても、楽しく真面目に生きていけるぜー」
と、思います。
それと同時に、便所にまで神様のいる、やおよろずの神のいます国の人としては、たった一人の神様しか信じない人の神の死のもたらす無力感の恐ろしさを感じます。
主人公ランダルは、70年代の矛盾を一気に背負ってしまった主人公なのでしょう。
しかし、例えば、処女懐胎も、現在の技術なら可能です。(科学が進んだ方が聖書の信憑性を表現しえるというのは皮肉な感じ)
ラストの終わり方は賛否両論あるのでしょうが、結局、すごくキリスト教を体言した終わり方でもあるなあ、と、思いました。

