『目的の美容室』はホテルから歩いて数分、駅直ぐでありながら「住宅街」と言える地域の中に、一見見落としそうなくらい地味な構えでポツンと存在していた。
私が幼い時からずっとやってくれてた「床屋さん」もそうだったのだが、職住兼用住宅になっている店だ。
初めての場所だったので少し早めに出たのだが、本当に直ぐ、予約時間よりもかなり早く着いてしまった。
こっそり覗くと店内には誰も居ないようだったし、そこは北海道(の地方都市)あるある、周囲にも時間を潰せそうな店も皆無。
まあ元々の「営業時間」は過ぎているのだからエエか?
誰か居たとしても待つ場所くらいあるよね?
…そう思って恐る恐るドアを開けると、店の奥から優しそうな若い男性が出て来た。
「えっと……リオ……さん……ですよね?」
「はい、あの~、少し早く着いてしまって……」
「ああ、良いですよ、どうぞどうぞ!」
店は新築のように綺麗で清潔感があり、こじんまりしつつもモダンな感じでとても居心地が良い空間だった。
「いやあ~、
あんな感じ(=エアメール)で
連絡を頂いたのなんて、
初めてでしたよ~!」
「SNSの力って、凄いですよね~?」
…そんな感じで彼=R氏との会話が始まった。
基本、私は「初めて」の人と会話するのは「大」が40個付くくらい苦手である。
「ゆうご」さんとは「ブログ」という前座?があったからスムーズに話し続けることが出来たが、R氏の場合はまさに初対面、美容室のホームページとインスタグラムしか知らない。
しかし、そこは流石「職人」でありながら同時に「接客業」でもある美容師さん。
極自然に話題を変え、終始話し掛けてくれたお陰で楽しく時間が過ごせた。
「コロナ禍で大変だったでしょう?」
…とこちらが聞くと、
「それが意外と、悪くなかったんですよ~」
「へ~、それはまたどうして?」
「ボク一人でやっているので、
(他人がウロウロしないから)
安心だって方が多かったんですよ」
…は~、なるほどね~。
それは確かにあるかも。
私が日本で『美容院』に殆ど行かなかったのは、行くと
「御指名は?」
…と一々聞かれることや、やってくれた人が余り上手じゃなかったとしても他の人の技術が判らない……という事もあったし。
(結果として北海道へ帰省時に家を抜け出して「床屋さん」に行っていた)
結局「相性」というものがあると思うが、一人でやっている店ならそうした煩わしさを感じることもあるまい。
さて。
「わ~、これは確かに十分な長さがありますね~!」
…と言われた、『断髪』前の後ろ姿がこちら……!
(ちょっと判り難いでしょうがウエスト超え、座ると座面に着くくらいありました)