「ご、ご、ごめんリオっ、
別に意地悪じゃないのよ、
ジョークよ、ジョークッ!」
いや、判っているよ……とは直ぐは言わなかった。
確かに『ジュリー』にとっては「ジョーク」だったかもしれないが、半分は「本気」だろ?……だからあれだけシツコクした訳で……と「私は」判断したから。
いわゆる
「ゴメン」と「わざとじゃなかった」
…とさえ言えば全てのコトが済む!……のだったら警察と裁判所は要らないってことでしょ?……ってヤツだ。
「あ、アナタは誰にだって優しいわよぅ、
判っているわよぅ、
ホント、ジョークなのよぅ!!
判るでしょ~、ねえっ!?」
…(━_━)……!
再び顔を近付けて来て必死の?謝罪と懇願を始めた『ジュリー』だったが、私は正直
「あ~、ウザい……!」
…という気持ちしかなかった。
あ~もう、『オーブン部屋』に居る『ジョー』や『ピーター』、そして『キヨさん』も「耳ダンボ」になっているだろうなあ……!
って言うか、どうしてこう「ショボい言い訳」をセットにする人ってのが多いのかね……といつも思う。
「ただ、謝る」……ということはそんなに難しいことなんだろうか?
「ごめんなさい、もう言わないから」
…とさえ言ってくれればそれで終わるのに……!
「ねえ、ねえ、ホントっ、
ジョークだったのよぉ!」
「…あ~、いいよ、判っているよ」
…静かに、やっとそう返事をした私ではあったが『ジュリー』は今イチ納得していない顔のまま。
私の顔が「未だ」不愉快さを隠さないままであったこともあるだろうが、私という人間が彼女と同じテンションになれる訳もない。
「…私さ、『そういう言葉』に
ウンザリしているのよ」
…私は静かに、でも隣(=『オーブン部屋』)にも聞こえる位の音量でハッキリと話し始めた。
「リオ、新しいオトコは出来た?
何で新しいオトコを作らないの?
…別居した直後から
そんな言葉ばかり散々聞いて来たけど、
そういうのは少なくとも
「家族」や「カップル」で居ることで
『イイ思い』
…をして来た人達だから言えるんでしょう?
私は少なくとも、
そんな思いしたこと一度も無いから!」
『ジュリー』はハッとした顔になって、ようやく「いつものポジション」に戻った。
「あ、あ、アタシもねえ~、
今の旦那と
もう一度結婚しようなんて
思わないわよ~っ!」
「照れ笑い」のような顔で『ジュリー』がそう言ったのだが、私は返事をしなかった。
「不愉快なことは不愉快」
…「そういうこと」を顔と言葉でハッキリ伝えておかなければ心馳せなど永遠にしてもらえない。
コノ国で私が学んだことの一つである。