「ヨシコさん」の話 「身内贔屓」の歪みと冷静な「岡目八目」? ⑥ | コノ国の体裁(カタチ) ~幻像『大英帝国』の住人達~

コノ国の体裁(カタチ) ~幻像『大英帝国』の住人達~

 閃いて、まさに!という想いでつけたのですが……司馬遼太郎さま、ごめんなさい……!
 

 

 

 

 

  特に直接の上司と言える人達にとって「アノ二人」(で、同僚内では通じていた)は『頭痛の種』でしかなかっただろう。

 

 

  だから「支店」内に限らず、「応援」が他店から掛かると「アノ二人」が良く行かされていた。

 

 

 

  こっち=他の同僚にしてみれば「バンザ~イ!」モノだが、送られた方はたまったものじゃない。

 

 

 

  他の店からも早々に

 

 

  「アノ二人は送らないでくれ」

 

 

  …と言われたらしいが、それでもしばらくは無視して送っていた。

 

  しかしとうとう「出禁」を言われた、と直属の上司が言っていた……お気の毒。

 

 

 

  そこでとにかく二人の接点を減らそうと「ヨシコさん」の配置を替えた。

 

 

  そこは「喫茶部門」というか、「支店」が入っていたビル内の人達しか使わないような所でフロアは二人、調理人は「メインキッチン」から毎日交代で一人ずつ来るだけ、というこじんまり且つハッキリ言って「大抵ヒマ」な場所だった。

 

 

 

  「トシさん」は殆ど行かない場所だし、働くのは二人だけ、となれば嫌でも働くだろう……とでも考えたのだろう。

 

 

 

  ところが。

 

  「相手」となった先輩格のもう一人が早々にキレていた。

 

 

 

  動くことは動くが、とにかくダラダラしている。

 

 

  一々溜息を吐くので、お客さんにも嫌な顔をされる。

 

 

  とにかくどんな時でも「自分が楽な方」しかやらない。

 

 

 

 

  例えば作業等の関係で同じメニューで

 

  「最初に注文された二人前

 

  と、少し後に注文された

 

  「次の一人前」

 

  が同時に出たとする。

 

   すると「ヨシコさん」は迷いもせず

 

 

  「次の一人前」ダケ

 

  …を持って行くのだそうだ。

 

  それも「最初に注文」した二人の前を堂々と横切って……!

 

 

 

 

 

  ホント、あれほど周囲の全ての人に疎まれ、呆れられていたカップル(じゃないけど)は居なかった……と今も思う。

 

 

 

 

  因みに、そこを辞めた後の「ヨシコさん」は親のコネで小規模な会社の事務職となり、やはり親が遁走して「お見合い」を重ね、まもなくめでたく結婚して「専業主婦」となり、その後直ぐ子供にも恵まれていた。

 

 

 

  彼女の結婚直後に友人が「記念写真」を見せてくれたのだが、何でも式場側の提案で

 

  「幸福の四つ葉のクローバーにあやかって」

 

 

  …ということで「お色直し」を三回したとのことで、つまり四枚の「新郎新婦写真」を撮っていた。

 

 

 

  しかしまあ、ああいう写真って「一般人」は似合っていればいるほど『七五三写真』っぽく見えるのは私だけだろうか?

 

  と言うか、その四枚の中の四枚目を見た瞬間私は

 

  「うわあ~、何だコレ……💦」

 

  …と思ったのだが(良く覚えていないが、何かド派手な黄緑とオレンジがメインのロングドレスだったと思う)、言葉に詰まっていた私に向かって友人が間髪入れず、嬉しそうにこう言い放ってくれた。

 

 

 

  「そのドレス、可愛いでしょっ?

 

   おね~ちゃんに良く似合っているよねっ!?」

 

     (「家族」ってアリガタイね~?)

 

  

 

 

   「もちろん」私は

 

 

   「…うん、そうだね…」

 

   …としか言いませんでしたよ~!(^^;)