「…ねえ、『その言葉』、
誰が、どういう状況で言ったの?」
私がそう問い返すと、まさに唐突という感じで盛り上がっていた「輪」が一瞬で静まり返った。
特に私の言葉が余程意外だったのだろう、『シロマダム』は「はあっ?」と言っただけで
「何言い出すんだ、コノ女?」
…と言いたげな顔を向けて来た。
「『その話』ね、
「お嫁さん自身が『家族みんなの前で』言った」
…の?
それとも
「お嫁さんは『弟さんにだけに』言った」
…の?」
すると、何をアタリマエな事を言い出すんだ?という顔で『シロマダム』が答えた。
「え~?
『弟にだけ』言ったんだけどぉ?」
…ああ「ヤッパリ」ね、とは思ったけれども
「ふ~ん…」
…とだけ答えた私。
その反応が「また「」彼女には理解も納得も出来なかったのだろう。
ふいに語気を強めた口調で
「どういうことっ!?」
…と聞いて来た。
「いや、『私が弟さんなら』言わないな、と思ってね…」
「はあっ?」
まだ納得出来ない顔のままの『シロマダム』。
「お嫁さんは弟さんに言っただけ、って事なんでしょう?
それなら、私が弟さんだったら、
その場でお嫁さんに注意はするかも知れないけれど、
わざわざみんなの前で言わないな~、
と思ってね…。
だって、その場のみんなが…」
…不愉快な気持ちになるだけ、だもの……と言いかけた時、引き攣った笑顔を浮かべた『シロマダム』が大袈裟に手を振り、私の言葉を遮って叫んだ。
「あ、あ、ああ、あのねえ、
ウチのオトートってねえ、
バ、バ、バカなのっ!
バカ、バカ、バカ、馬鹿っ!!」
…いや、アナタは一分前まで絶対、微塵もそんな事思っていなかったでしょ?……と突っ込んでも良かったが、それ以上私は何も言わなかった。
その後彼女は直ぐ話題を変え、「輪」の母親達も直ぐそちらの話にノッていたのは覚えているが、その後&その日どうやって彼らと「解散」したのかも覚えていない。
「みんなと一緒」に盛り上がれば良かった「ダケ」なんだよね……と今も思う。
と同時に、昔多くの宗教家が結婚しなかったのは「禁欲」だナンダ以前に、貧富・性別・地位等の全てを超え、あらゆる人達に平等に接するべき人達が『身内贔屓』しないように、という意味だった、という説が真意に思えた出来事ではあった……かな?