「Hey! What's up!? 」
…電話をブチ切りして1分も経たないうちに『キュリさん』からテキストが入った。
「ちょっと! ナニしたっての!?」
…と言ったところか?
本当に本当に本当に、
「コノ人は、何で私がこういう態度を取ったか、ということすら気付いていないんだ!」
…と、改めて呆れてしまった。
で、それこそ
「アンタ馬鹿か?」
…くらいの返事でも返してやろうか……と一瞬は考えたのだけれども、次の瞬間には「そういうヒト」に対した時に出て来る同じ言葉が浮かんで来た。
「こっちから何かするだけ無駄」
そのままにしていると、30分くらいしてまた彼女からテキストが入った。
「OK! Good bye!!」
ナニが「OK」だったのかは知らないが、それが彼女からの最後のテキストであり、その時の会話?が彼女の声を直接聞いた最後になった。
でもまあ、何度も書いたように彼女の家は商店街のど真ん中にあるのだし、生活時間に多少のズレはあるとは言え、街で偶然でも出会わない……ということは絶対無いだろう、と「私は」覚悟を決めていた。小さな街だしね。
会ったら会ったで別に知らないフリでもしてすれ違えば良いわ、と。
それが『決別の日』から一週間も過ぎた日だったろうか。
冬とは思えない、暑いと思える程日差しが暖かく、道行く人達は普通の日本人ならびっくりする程『薄着』で歩いていたり、用心して厚い帽子やコートを着込んで来た人達も帽子を手に持ち、前を全開にして歩いているような一日だった。
その日何が目的だったか忘れたが、私は普段の買い物時間よりも遅めの時間に商店街に向かって歩いていたのだが、ふと、私の斜め前というか、かなり向こうから反対側の歩道を毛皮付きのフードをすっぽりと目深に被り、肩を丸め前のめりになって歩いて来る人に気が付いた。
目が悪い私がかなり遠目だったのに気付いたのは、その
「周囲と余りに違う雰囲気」
と同時に、その歩き方も
「妙にギクシャク」
していたからだった。
結構人通りが多い時間帯だったので周りの人達も明らかその人に注目している。
周囲が全部その人を見ながら歩いているから、益々目立つ。
皆の視線を意識しているからだろう、益々動きがギクシャクして来ているのに「皆と同じ雰囲気」になる様子は全くない。
私も「何だアレ?」という感じで注目していたのだが、反対側の歩道ながら「その人」がかなり近づいて来た時、「彼女」は反対側の交差点をまさに直角に左折して行った。
そう、それは『キュリさん』だったのだ。
何故って、私の左目の隅で彼女が交差点を曲がった時、その「飼い犬」が見えたから……!