裏世界の「全て」を知る『タダの主婦』??? 42 | コノ国の体裁(カタチ) ~幻像『大英帝国』の住人達~

コノ国の体裁(カタチ) ~幻像『大英帝国』の住人達~

 閃いて、まさに!という想いでつけたのですが……司馬遼太郎さま、ごめんなさい……!
 

      

   『キュリさん』のその言葉を聞いた時、私の脳裏に真っ先に横切ったのは

 

 

  「ああ、やっぱりこの人はコノ国の『常識』を何も知らないんだ!」

 

 

   …というか、それまでの私の話(特に就活事情の話)すら全く聞いていなかったんだな、とつくづく納得した。

 

 

 

 

   いや、結局彼女はコノ国で普通の「就職活動」のようなモノをしていなかったんだよね。

 

   『自営業』で一番面倒臭い資金繰りや経理には全く関わらないまま『自分チの手伝い』をして過ごし、「ダンナ」が蒸発した後の就職も周囲のお膳立て、その職種のお陰で

 

 

  「応募したら受かるのはアタリマエ、

 

  向こうから懇願されるのがアタリマエ!」

 

  …という感覚に陥ってしまったのだろう。

 

 

 

   まして、

 

   不採用の場合は無視=連絡が無い方がアタリマエ

 

  …という「コノ国の常識」などタダ耳を通り過ぎていただろう。

 

 

 

 

   その後しばらくは

 

   『人生初めて?の不採用』

 

   …に激しく動揺し、罵倒し、落ち込んでいた『キュリさん』だったが、その数日後、私がサイトで見つけたケアハウスに「突撃訪問」し、後日そこのマネージャーとの面接を経てメデタク一発採用になった。

 

   それも金曜日からの週末三日のみ、一日6時間という彼女の希望通りだと言う。

 

 

 

   やれやれ、これでもうアレコレ引っ張り出されることは無いな……と思ってホッとしたのも束の間、また「電話して!テキスト」が入って来た。

 

 

 

  「ねえ、推薦状書いてっ!」

 

  …はあ?

 

 

   確かに面接時に推薦状があると有利だし、要求する職場もある。

   それが無くても応募の際の申込書には「推薦人」を書く欄がある場合が殆どなのだけど、採用が決まった人間に要求して来る、なんて話は初めて聞いた。

 

   しかし『キュリさん』の話によると、マネージャーが「形式的なので良いから」ということで要求して来たそうだ。

 

   「だったら無職の私なんかより、前の職場の人にでも頼んだ方が良いじゃない?

 

    それこそ〇〇さん(『★★』を紹介してくれた人)にでも頼めば?」

 

   …と返したのだが

 

 

   「こっちの人に頼むとさあ、色々面倒じゃない!?

 

    簡単なので良いんだから、ねえ、御願いよっ!

 

    チョコチョコッと書けばいいダケじゃない!」

 

 

 

   …「こういうヒト」はこうなったら引っ込まないな……私が半分諦め気分で「いいよ」と答えると

 

 

   「ありがとっ!

 

    じゃ、明後日までに『必ず』持って来てねっ!」

 

 

 

    …自分から頼んだ事なのだから「自分が取りに行く」という選択は彼女には無いらしい……と思った時、突然日本に居た時の強烈な『御近所さん』の顔が浮かんだ。

   

  あ~そうだ、アノ人もいつもこういう感じで他人の都合を無視して自分の要求を押し通すから陰でシッカリ嫌われていたなあ……。

 

  私がそんなことを考えているなどど、その頃の『キュリさん』は夢にも思っていなかっただろうけど……!