ワタシはコレで……仕事を辞めました ソノ151 「ハウス」人物録…今ドキ「カウボーイ」?『M』3 | コノ国の体裁(カタチ) ~幻像『大英帝国』の住人達~

コノ国の体裁(カタチ) ~幻像『大英帝国』の住人達~

 閃いて、まさに!という想いでつけたのですが……司馬遼太郎さま、ごめんなさい……!
 

 

 

   「事の始まり」(だったのだろう事)は『M』が働き始めて三週間程した日曜日。

 

 

 

   その日は『T』が「一日シフト(午前&午後の12時間勤務)」で入っていたらしいのだが、出勤して来た『M』は昼食の用意だけすると

 

 

 

  『家族に問題』が起こった」

 

  …とだけ言って、サッサと「早退」してしまったそうだ。

 

 

 

   繰り返すように、日曜日は『サンデー・ロースト』の御馳走日。

 

   例え料理が全て用意はしてあったとしても、配膳及び後片付け等の手間は平日よりも掛かる日だというのに、突然ケアラー二人で全部対応しなければならなくなったワケだ。

 

 

 

  その日誰が『T』と組んでいたのかは知らないが、『Yさん』が出勤した時でも『T』はまだ怒り心頭で『M』を罵倒し続けていたそうだ。

 

 

 

  それなのに次の日何事も無かったように出勤して来た『M』に対して、『T』が不満そのものを本人にぶつける事は「もちろん」なかった、と言う事実も

 

   「流石『T』!」

 

   …と言うべきか?

 

 

 

 

 

 

   ところが、それから10日も経たないある日の朝、その日「一日シフト」で出勤していた『疫病神H』に『M』から一本のテキストが入った。

 

 

  『家族の問題』で退職します」

 

 

 

   後は『疫病神H』だけでなく『M妻』でさえ、幾ら電話を入れようが全く応答せずそのまま『M』は「ハウス」から消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   「アレ(日曜日)は『面接』に行ったんじゃないのかねえ……?」

 

 

   『Yさん』が呟いた。

 

 

   「でも、随分急に辞めたもんだよねえ?」

 

  …と『Yさん』は不思議がったが、私はそうは思わなかった。

 

 

 

  と言うのも、『M』が辞めた=消えた日というのは、「ハウス」の給料日の次の日だったから。

 

 

 

  給料計算の為の「締め切り」と実際の「給料日」にはいつも一週間程の差がある。

 

  それがモッタイナイ!……と言えばそうだと言えるけど、同時に

 

  「たかが一週間」

 

  …だ。

 

   ましてその間には「休日=無給」の日も入っている。

 

   

   例えばその一週間分の給料が払われなかったとしても、取り合えず一か月分の給料が入っていて、更に次の職場が決まっていたとしたら「イヤな職場」なんてサッサと辞めたくなるんじゃないだろうか? 

 

  『M』もソレを狙った、というか、給料がちゃんと振り込まれるのを確認してから辞めたに違いない。

     (給料日に給料が払われない、という職場だって少なからずある…!)

    

 

 

 

 

  その後個人的に『Z』に会った時(参照;ソノ116)私が『M』について

 

 「アレは長続きすると思ったんだけどね~?」

 

  と言うと『Z』は

 

 

  「いや~、『M』は最初から満足していなかったよ。

   『疫病神H』が居ない時なんてず~っと、

 

 

 

   『食材はヒドイし、給料も安くて馬鹿らしい』

 

 

 

  …って愚痴って来ていたもの!」

 

 

  …と言っていたから『M』も「ハウス」の労働条件に納得していなかったという事は判ったのだが、疑問だったのは

 

 

 

 「では、何故彼はワザワザ『そんな仕事』を受けたのか?」

 

  …という事。

   一度会ってそこら辺の話を聞いてみたいな~、と思ったのを覚えている。

 

 

 

 

 

   しかし「ハウス」の後、『M』が何処へ行ってしまったか、なんてモチロン誰も知らなかったし、一時怒りはしても誰も気にする人は居なかった。

 

   もちろん私も、『Yさん』も。

 

 

   そう、『M』と『再会』するまでは……!