『「つながり」の精神病理』中井久夫著 ちくま学芸文庫

 

「精神健康の基準について」より
P217~248 (定義部分のみ抜粋し、説明部分は省略)


第一は、分裂(splitting)する能力、そして分裂にある程度耐えうる能力である。

 

第二は、両義性(多義性)に耐える能力である。

 

第三は、二重拘束への耐性を持つことである。

 

第四は、可逆的に退行できる能力である。

 

第五は、問題を局地化できる能力である。

 

第六は、即座に解決を求めないでおれる能力、未解決のまま保持できる能力である。

 

第七は、一般にいやなことができる能力、不快にある程度耐える能力である。

 

第八は、一人でいられる能力である。二人でいられる能力をも付け加えたい。

 

第九は、秘密を話さないで持ちこたえる能力で、嘘をつく能力も関連能力であろう。

 

第十は、いい加減で手を打つ能力である。これは複合能力で、意地にならない能力とか、いろいろな角度からものを見る能力、特に相手から見るとものがどう見えるかという仮説を立てる能力――相手の身になる能力――が関連している。若干の欲求不満に耐える能力とも関係してくる。

 

第十一は、しなければならないという気持ちに対抗できる能力である。

 

第十二は、現実対処の方法を複数持ち合わせていることである。

 

第十三は、徴候性へのある程度の感受性を持つ能力である。対人関係を読む能力は徴候性を感受する能力と関係している。

 

第十四であるが、予感や余韻を感受する能力であり、過渡的な現象に不意に直面することを回避するためにもだが、この世界を味わいのあるものにする上でも重要な能力だ。

 

最後に、第十五、現実処理能力を使い切らない能力がある。あるいは使い切らすように人にしむけないことである。

 

ある状況下では、独語する能力も精神健康上プラスの意味を持つことを以前に述べた。

 

ほんとうは妄想能力も一つの能力かもしれない。