函館ワンニャン物語 ③ | 南北海道動物愛護ネットワーク みらい

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主に函館市近郊で、捨てられた犬や猫の保護、里親探しを目的に活動している動物保護団体です。
毎週日曜日、美原のパチンコ富士3階にて譲渡会を開催しております、譲渡は、もちろん見学もどうぞ。

函館ワンニャン物語 ③ ~アニマルレスキュー~


◆学校(卒業式前日)

  松前町原口での三年間の単身赴任を終え、洋一は函
  館市内のA小学校に勤務している。
  卒業式を明日に控え、慌ただしく準備に取り掛かる
  洋一。
  毎年式場の盛花を依頼している花屋さんと立ち話を
  する。
  ペットの話から、函館にはアニマルレスキューとい
  うボランティア団体があることに話が及ぶ。

洋一「私の家族も犬や猫が大好きで、捨て猫やら野良犬
   やら、また保健所で処分されそうな犬を保護して
   家族みんなで協力して世話をしているんです。」

花屋「そうなんですか。すごいですね。今、何匹くらい
   飼っていらっしゃるんですか。」

洋一「犬が五頭で、猫が二十三匹です。」

花屋「すごい数ですね。餌代とか大変ですね。月にどの
   くらいかかっているんですか。」

洋一「餌代、猫のトイレの砂、病院代とかで十万くらい
   ですね。」

花屋「それは、本当に大変ですね。」

洋一「でも、誰かがやらないと、無くなってしまう命で
   すから・・・、と言うよりも、結局、好きでやっ
   ているんですけどね。」

花屋「好きだけで、なかなかできることではないです
   よ。」

洋一「ところで函館には、保健所で処分されそうな犬や
   猫を助ける活動に取り組んでいるアニマルレスキ
   ューというボランティア団体があるのをご存知で
   すか。」

花屋「知っていますよ。」

洋一「すばらしい団体ですよね。私の家族はアニマルレ
   スキューのこと、めちゃくちゃ尊敬しているんで
   す。本当に素晴らしいですよね。」

  洋一は、少し興奮ぎみに話す。
  花屋は、はにかむように笑い、照れくさそうに話し
  出す。

花屋「ありがとうございます。実は、私がアニマルレス
   キューの代表なんです。」

洋一「えー、本当ですか!それはすごい。感激です。へ
   ぇー、信じられない。奇跡的な出会いですね。う
   れしい限りです。」

花屋「そんなに、感激してくださって私もうれしいで
   す。ありがとうございます。」

洋一「北海道新聞に載っていた記事、『まちは唄う』読
   みました。涙が溢れ止まりませんでした。本当に
   感動しました。代表さんの気持ちが痛いほどわか
   るんです。」


  車を運転しながら、野犬抑留所に向かう代表。
  車窓から見える周りの景色。
  やがて抑留所に着く。

  ナレーターにより次の記事が詠まれる。

(「北海道新聞」より)
≪「生まれてきてよかったね。今度は幸せになるんだ
  よ。」
  まだおびえているのか、新しい飼い主
の腕の中で
  震えているシバイヌを、動
物愛護団体「函館アニ
  マルレスキ
ュー」のメンバーが優しくなでた。
  七歳の雌。市内をうろついているところを捕獲さ
  れ、見晴町(みはらしち
ょう)の野犬抑留所に運
  ばれた。
  飼い
主が現れないまま一週間を檻の中で過ごし、
  処分される直前に、アニマル
レスキューが引き取
  った。
  新しい飼
い主となった市内の女性は「引き取っ
  からには最後まで面倒を見ますよ。」
と約束した。
  アニマルレスキュー
は、捨てられたり、抑留所に
  収容され
たりした犬や猫の新しい飼い主を探す
  動を続けている。
  「子犬が産まれるたびに連れてきたり、成犬にな
  ると手放す」など、無責任な
飼い主が後を絶たな
  い。
  アニマルレスキューの代表は、月に数回、山あい
  にある野犬抑留所へ向
かう砂利道を車で走る。
  「今助けに行くからね。待っててね。」
  これまでに、六百七十四匹の犬と猫の命が助けら
  れた。
  「引き取り手がなければ消える命を守りたい。か
  けがえのない命、命あるも
のを一匹でも多く助け
  たい。」という強
い思いが、レスキューの日々の
  活動を
支える。≫


◆函館市西桔梗町(夕方)

 
「西桔梗町の野原で、ロープを巻きつ けられて
  うずくまっている犬がいる」
と市民から通報が
  あり、レスキューメ
ンバーが駆け付ける。

代表「なんてこと!」

   
  犬の様子(硬いロープで首や前足の付
け根を何重
  にも巻かれ、ロープの痕は
深くえぐれ、ウジが
  わいている状況)
を見て、絶句する。

 

メンバー1「いったい、誰がこんなことを、絶対に許せ
     ない!」

  
 怒りで体が震え、じっと犬を見つめる。
 立ちすくんでいるメンバー2が、やっとの思いで

  言葉を発する。

メンバー2「このままでは、死んでしまう。」

 犬に近づき、巻かれているロープを必死に外そうと
 する。犬はかすかに唸り
声をあげるが、精気を失い
 うずくまっ
ている。

 

メンバー1「私も手伝うわ。」

   
  メンバー全員で、巻かれているロープ
を何とか外そ
  うとするが、なかなか外
れない。三人で協力して
  ようやくロー
プが外れる。 


代表「S先生に連絡して」

  
メンバー2が、急いでS動物病院に連絡を入れる。

メンバー2「すぐに連れて来てって。」

  
保護した犬を車に乗せ、急いで市内にあるS動物
  病院に向かう。

(「函館ワンニャン物語 ④」へ続く・・・)