6月19日未明、北朝鮮に到着したロシアのプーチン大統領は、空港で金正恩総書記の出迎えを受け、ひとまず宿泊先へ移動。昼の歓迎式典のあと首脳会談などを行い、両国の蜜月ぶりをアピールした。

 プーチン氏の訪朝は2000年以来、24年ぶりになるが、そもそも旧ソ連時代を含め、ロシアの指導者が自ら北朝鮮を訪問するということはなかった。

 

 なぜなら冷戦時代、両国は関係を深めていたものの、ソ連崩壊でその関係が一気に冷え込んでいたためだ。

「両国の関係は第二次世界大戦が終結した1948年に遡りますが、北朝鮮が建国後、50年6月に朝鮮戦争が勃発した際にも、北朝鮮は完全にソ連の傀儡国家として参戦しています。ただ、そんな関係であるにもかかわらず、両国が強固な同盟関係に至ることはなかった。背景にあるのが、ソ連首脳陣らによる北朝鮮に対する強い不信感だったとされます。というのも北朝鮮は、経済、軍事両面でソ連から莫大な支援を受けていたものの、中国とソ連が対立した際には中立な立場を維持し両国から支援を受けていたことで、信用されていなかったからだとされます。その溝がソ連崩壊後、より一層深まってしまったというわけなんです」(北朝鮮に詳しいジャーナリスト)

 そんな両国の状況を変えたのが、誰あろうプーチン氏だった。

 

 同氏は大統領に就任して間もない2000年7月に訪朝し共同宣言を発表。つまり、プーチン氏がいなければ、ロシアと北朝鮮の関係修復はありえなかったのである。

 その後も中国を挟んで“付かず離れず”を維持してきた両国は、ウクライナ侵攻勃発で反米意識を共有するなか互いの利害が一致。結果、昨年9月の金総書記訪露により関係がさらに深まったように見えるが…。

「ただし、旧ソ連時代の歴史が示すように、両国が本心から信頼関係を気付けるかというと、それは不透明だと言わざるを得ない。ロシアだけなく、むろん中国としても北朝鮮の軍事力が極度に高まることは望まないでしょうし、そうなってしまった場合、中国が黙っているはずがない。プーチン氏訪朝によるハリボテのような蜜月も現政権下だからこそで、今後いつまで続くかはわからないということです」(同)

 一泊二日も日程を終えたプーチン氏は、次の訪問国であるベトナムに向け飛び立った。