4月10日に行われた韓国の総選挙で108議席だった尹錫悦大統領率いる保守系与党「国民の力」に対し、175議席を獲得し大勝した最大野党「共に民主党」。

 

 そのトップが、これまで「福島第一原発の汚染水排出は第2の太平洋戦争として記録されるだろう」等々、日本に対し過激な批判を繰り返してきた李在明氏だ。

 

 そんなことから、仮に次の選挙で李氏が大統領に就任した場合、雪解けを迎えた日韓関係が再び冬の時代に入るのではないか、といった懸念の声が広がっている。

 外報部記者が解説する。

「韓国では大統領が代わるたびに反日になったり友好的になったりと、その態度がころころと変わるというのは、これまでの歴史を見ても明らか。その証拠に、過去最悪と言われた前の文在寅政権から現在の尹政権になって以降、急速に政治面での関係改善も進み、両国を行き来する日本人、韓国人が以前にも増すなど、現在の爆発的な訪日ブームが起こっています。この流れから考えて、ある日突然、以前のような反日扇動や歪んだ日韓問題に逆戻りすることはないかもしれません。しかしその半面、新政権起立の際に、多くの逮捕者を出した利権を貪ってきた輩が、またはびこる可能性が大きくなってきたということは間違いない」

 今回勝利した野党は、国内の物価高や失業率低下の元凶はすべて現政権の失策として、選挙では3万円ほどの助成金を出す準備がある、などと繰り返し国民に訴えてきた。

「しかし、国内の物価高や失業率低下を導く根っこを作ったのは、文政権。つまり、尹政権は単に文政権の尻拭いをしているということです。しかも、現在の韓国野党には、その文政権が配置した人事で多くが締められています。野党勝利により、談合、癒着などにより逮捕や検挙されることを恐れていた輩が再び利権を貪ることができる環境が整ってしまったということです」(同)

 そしてもう一つ、大きな懸念となるのが、対北朝鮮問題だ。

 周知のように、前の文在寅政権は、何がなんでも北朝鮮と仲良くしたいと、金正恩総書記を下にも置かない歓迎ぶりだった。しかし昨年来、民族の悲願としてきた南北統一を一方的に放棄する姿勢に転じた正恩氏は、今年1月、ついに韓国を「第1の敵対国」と位置づけ、平和的統一は望まないと宣言している。

「北朝鮮の顔色ばかり伺う文政権に対しては、日本は無論のこと、アメリカも困惑していた。北朝鮮の背後には中国がいるため、日米韓が連携が重要になる。にもかかわらず、文政権はその関係性を乱していたからだ。しかし、尹政権に変わり、その関係性が強固になった。つまり、日米としては当然、尹政権との関係を維持していきたい。ところが、そんな中で韓国野党の圧倒的多数で勝利してしまった…。本当に3年後の大統領選の行方がわからなくなってきました」(同)

 今回の野党勝利が残した、国内における「贈収賄の急増」と「反日復活」の懸念は払拭できるのか。

 

 尹錫悦大統領の手腕が試されている。