先日、締め切り明けの朝方、近所の公園を散歩中に、不思議な光景を見た。

 

 集まっている人たちが、バリバリな津軽弁の号令で、ラジオ体操をしていたのだ。

 

 余りの面白さに、つい足を止めてしまったが、聞けば、最近、こういった「ご当地ラジオ体操」が再びブームになりつつあるのだという。

 

 津軽弁や大阪弁など、地元の方言を使って”号令”をかける「ご当地ラジオ体操」が脚光を浴びたのは、10年ほど前のこと。

 

 そもそも、『ご当地ラジオ体操』というのは、誰でも知っているラジオ体操と、地元言葉を組み合わせることで、県民には地元固有の文化を再確認してもらい、対外的には地域をPRしたい、という目的で作られたもの。

 

 それがメディアに取り上げられたことで全国各地に広がり、続々とご当地版が作られるようになったといわれる。

 

 2013年には岩手弁や土佐弁、ウチナーグチ(沖縄弁)など12の方言が号令として入った「ラジオ体操第一 ご当地版」なるCDが発売され、想定外の大ヒットを記録。

 

 さらに、外国語バージョンを集めたオムニバスCDも発売され、その存在は世界でも広く認知されることになった。

 

 そして時を経た今、コロナ禍をきっかけに、ブーム再燃となったわけだが、実際、YouTubeで「ご当地ラジオ体操」と検索してみると、北は東北から南は沖縄まで、それこそ、ローカル色あふれる、さまざまなご当地版ラジオ体操が楽しめる。

 

 なかでも変わり種として人気なのが、国内5方言・海外6カ国語7種類の、計12パターンのナレーションが挿入された「ラジオ体操 第バ(第1×ダイバーシティ)」だ。

 

 この体操を公式YouTubeページで公開しているのは建設大手の東急建設。

 

 建設現場で働く人々は年齢も違えば、出身地も異なるため、作業員同士がコミュニケーションを取りづらい状況。

 そんな環境のなか、コミュニケーション不全が原因となってヒューマンエラーや事故災害の原因になることも少なくない。

 そんなこともあってコミュニケーションの活性化を目的として、この映像を制作したようだ。

 

 つまり、もともとの制作意図は社員や現場スタッフに向けたコミュニケーションツールだったのが思わぬ形で注目されることになったというわけだ。

 

 ちなみに、同チャンネルでは、大阪弁や博多弁、津軽弁のほか、英語、中国語(簡体字)、中国語(広東語)、インドネシア語、タイ語、ベトナム語、ミャンマー語といったラジオ体操が楽しめる。

 

 映像は、それぞれ東急建設の従業員らが出演しているプロモーション版と、モデルを起用したモデル版の2種類。

 

 特に従業員バージョンのほうは、手作り感満載で、正直、途中で噴き出してしまうくらい面白く、個人的にハマっているのは『腕さ回せや〜』、『胸こと反らせや〜』という津軽弁バージョン。

 

 海外ものもユーモラスで、体操をしながらほっこりとした気分になることは間違いなし。連日のテレワークで座りっぱなし、という人には是非おすすめしたい。

 

 今日は東北、明日は沖縄、とその日の気分で使い分けるもよし。

 

 日替わりで「ラジオ体操」を楽しんでみようではないか。