今日の午後は内閣委で一般質疑に立ちました。

 

 まず、高市大臣の政治姿勢というテーマで、「公平と中立」のあり方について質問しました。この2つは全く異なる概念です。まず、中立というのは「誰も応援しない」という事であり、公平というのは「すべての人を平等に扱う」という意味です。混同されますが、この2つは一緒にしてはいけません。

 

 したがって、中立を達成する方法はそれ程バラエティがあるわけではなく、基本的には「関わらない」方向に収斂すると思うのです。一方、すべての人を平等に扱う時、その平等を判断するためには一定の価値観が必要です。機会の平等という時、名目的な平等と実質的な平等(アファーマティブ・アクション的なものを含む)の考え方があり得ますが、どちらも公平の達成の仕方としてあり得るはずです。拠って立つ価値観が異なれば、公平への道のりも、到達点も異なるはずです。問題が生じるのは、その価値観が極めて偏っている場合のみになると思います。

 

 その上で、例えば「すべての者に対して批判的な視点で接する」とか、「司法の独立、学問の自由を侵害する者を許さない」とかいった立ち位置も公平の一つのあり方のはずです。したがって、「自分を批判している」という点のみを以て、相手が不公平だという事にはならないというのが私の思いです。

 

 そういう私の認識をベースに質問したわけです。事前レクである程度、上記のような法哲学的な事を話していました。私は全くドタバタ劇をするつもりがありませんでしたが、高市さんはあまり事前に勉強して来られませんでしたね。また、参議院予算委員会でかなり絞られたせいか、「言質を取らせまい」という意図もひしひしと感じました(別に言質を取ろうという意図は無かったのですが)。更に酷かったのが、総務省の情報流通行政局長(私は「当てるつもりはないですが、来たければどうぞ」くらいの感じで総務省に伝えていました)。ひたすら既存の解釈を壊れたテープレコーダーのように繰り返すだけで、その応用としての「すべての者に対して批判的な視点で接する」が公平の中に入るかどうかについては全くダメでした。決まりきった国会答弁の繰り返しで対応できる程、「公平」という概念は安っぽくはありません。

 

 図らずも審議が止まってしまいました。如何なる意味においても、止めたいと思って質疑をしたわけではありません。知的な議論をしたいと思っただけです。

 

 仕方ないので、次のテーマである海洋調査に質問を移しました。2001年に日中間で「海洋調査活動の相互事前通報の枠組みの実施のための口上書」を交わしています。東シナ海において、中国が「日本側が関心を有する水域である日本国の近海」で、日本が「中国の近海」で海洋調査をする際は、調査開始予定日の2か月前までに相手国に事前通報する制度です。ここまでで分かると思いますが、通報しなくてはならない対象海域の表現が日中間で異なります(なので、この口上書はウェブ上何処を探しても出て来ません。表にすると都合が悪いからです。)。しかも、この口上書に基づき、中国が日本近海で調査をしたケースは山のようにありますが、一方で日本が中国近海で調査をしたケースは20年以上に亘ってゼロです。

 

 本当はもっと質問事項を用意していたのですが、上記のやり取りで時間を使い果たしてしまい、折角谷大臣にお越しいただいている中、当てないと悪いよなと思ったので、(ピンポイントで通告していたとまでは言えないですが)谷大臣に「中国近海で海洋調査やってはどうか?」と振ってみました。中国がたくさん日本近海で海洋調査をやっているのに、日本が中国近海で戦略的に調査をやらない理由は無いと思います。ただ、多分これも深く考えた事がないテーマなので応用が利かないのでしょう。実のある答弁ではありませんでした。

 

 きちんとした真面目な議論をしたいと思うのですけどね...。