橋本聖子参議院議員が、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長としての給与を辞退したとの報道がありました。これは公職選挙法の「公職の候補者等の寄附の禁止」に当たるのではないか、と気になります。

 

【公職選挙法(一部省略の上、抜粋)】

(公職の候補者等の寄附の禁止)

第百九十九条の二 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。(以下略)

 

 そして、この「選挙区内にある者」については以下のような統一見解があります。なお、この質疑自体は議員の歳費返納に関するものです。

 

【衆議院予算委員会(平成27年1月30日)】

○高市国務大臣 公職選挙法第百九十九条の二の第一項でございますが、公職の候補者等は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならないと規定しております。

 この当該選挙区内にある者とは、当該選挙区内にある全てのものを意味し、自然人や法人のほか、国や地方公共団体も含まれるところでございます。したがって、議員が歳費を受領しそれを国庫に納付するというのであれば、それは国に対する寄附であり、公職選挙法に禁止されているところでございます。

 

 このような規定と解釈があるので、例えば、河井案里前参議院議員を始めとする不祥事に関与した議員による歳費返納がやりにくいのです。国会議員の歳費返納は(法律に基づくものを除けば)上記の解釈により禁止されます。

 

 橋本聖子議員は参議院比例区の選出です。つまり、参議院比例区の選挙は全国何処からでも投票していただけますので、日本「全国」が選挙区です。なので、上記答弁の用語をそのまま引用すると、選挙区内たる全国にある全てのものへの寄附が禁じられます。以前、全国比例選出議員の方と話した際、「自分は選挙区が全国なので、この手の寄附関係はとても気を付けている。」と話していたのをよく覚えています。なお、「本来貰うはずのものを貰わない」というのも、公職選挙法上は寄附に当たります。つまり、この場合は橋本聖子議員による公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック組織委員会への寄附という扱いになりそうです。

 

 その辺り、きちんと法令との関係の整理を付けてやっているんですかね。非議員である森喜朗さんが会長として無報酬であったのとは、全く意味合いが違います。ちょっと気になりますね。