最近、ずっと「人口(減少)」の事ばかり考えているので、色々な思いが浮かんできます。人口(特に労働人口)が減った時でも対応出来る世の中を考えるわけですが、これは答えが比較的明確でして「人間がやっている事を人間がやらずに済むようにする。」という事です。

 

 既に色々な研究機関が「今後消えていく職業」みたいな研究をしています。よくこの話で引用されるオックスフォードのオズボーン教授とフライ教授の論文も(英語ですが)なかなか面白いです(57ページ以降にコンピューター化されにくい順に職業が並んでいます。)。本当にそうなるのかはちょっと疑問になる職業もあるのですが、一つの指標にはなると思います。

 

 この手の話は、政治があれこれやる前に事実が先に進んでいくものです。どんなに抵抗しても、「コンピューターに代替される職業」は代替されていくと思います。今、既に労働力不足が深刻になってきているわけですから、先を見据えて、社会全体の方向性として①コンピューターへの代替を促す政策、②それに伴う人的資源の適正配置(+職業訓練)について考えておくべき時に来ていると思います。

 

 我が北九州市は、以前特区の枠組みで建築現場での打音検査をドローンで代替できないかという提案をしました。私はその可能性について国会で質問しています。当時の国土交通政務官の答弁は、まだまだドローンで代替するには至らないというものでした。技術は日進月歩ですので、特に高い場所での打音検査等が代替できるようになると良いなと思っています。そして、こういうアプローチが更に幅広く進んでほしいです。

 

 また、これに加えて、私が結構注目しているのが、電子政府、キャッシュレス・エコノミー、ウェブを通じたサービス提供です。

 

 電子政府については、私が尊敬するこの分野の国会での権威たる平井卓也議員がいつも「取組が遅いんだよな。」とボヤいておられました。今時、日本ほどちょっとしたお役所手続きで本人が出頭しなくてはならない国はそうそう無いと思います。そして、お役所に行くと、窓口(+案内)業務に非常に多くの方が配されています。電子証明書、電子印鑑、これで対応出来る部分はどんどん進めていくべきでしょう。大体、今でも役所はFAXでの連絡を要求してくる事がありますが、これに至っては「20世紀のまま」と言われても仕方ありません。

 

 キャッシュレス・エコノミーについては、これが進めば結果として労働力不足に対応出来ていくでしょう。諸外国ではどんどん進んでいます。先般、アメリカに行った際、モールのある店では20ドルの現金払いですら、「えっ...、このレジじゃ対応できないからあっちのレジ行って。」と言われてしまいました。世界で一番進んでいるのはエストニアや北欧諸国だと思いますが、利便性の向上+労働力不足への対応という2つの意味で積極的にやるべきです。

 

 経済産業省が目標と課題を纏めています(ココ)。日本ではクレジットの保有率が低いとか、現金が信頼が高いとか、導入コストの問題とか、デビットカードが細かく分散しているとか、色々と課題はたくさんあります。なかなかいきなり全国規模でやるのは困難でしょうから、地方自治体の中で先頭切ってやっていく所が幾つか出てきてほしいと強く願います。私は「どうやったって、このキャッシュレスの流れに抗する事は難しい。であれば、先頭切ってやった方が良い。」と思っています。

 

 また、ウェブを通じたサービス提供も今以上にどんどん進めるべきです。特に「医療」の世界でのウェブ経由のサービス提供はまだまだ可能性があると思います。勿論、何でもかんでも大体できるとは言いません。ただ、フラットな目で見れば医療の世界では今後、地域格差が出てくる可能性が高いです。人口減少地域に対応しようとすると、一定の医療サービスはウェブ経由でやれるようにしないと、それこそ医療の提供そのものに著しい不平等が出ます。

 

 また、薬剤についても服薬指導後であれば郵送可という判断が出ているわけですから(ココ)、これをもう少しだけ進め、病院で処方箋をpdfでスマートフォンに送ってもらい、それを薬局に送っておいて服薬指導は自宅(やスマートフォン)からウェブ経由で受け、後は郵送してもらうのでもOKになりそうな気がします。最後は上記のリンクとの比較で言うと、本人確認の問題だけでしょうからクリアー可能な気がします。

 

 あれこれと勢いよく書きました。やろうとするとなかなか難しい事ばかり書いています。しかし、こういう事をやらないと、もう労働力不足、人口不足には対応できなくなっていくと思います。上記に書いた事は、一般的には「便利だから進めるべき」と思われがちですが、今の日本はもうそんな悠長な事を言っておれないように思います。「便利だから」ではなく、「やらないと社会が回らない」という危機感を持つべきではないでしょうか。