最近、ブログのアップを怠っておりました。特段の理由は無いのですが、また、元気に更新してきたいと思います。

 

 さて、明日、米朝首脳会談が行われます。トランプ大統領を見ていると、内容そのものよりもセンセーショナル感と大胆な「ディール」の方に関心が向いているような印象を受けます。それだとダメなので、強面のボルトン補佐官に期待したい所もあります。

 

 その中で、是非思い出しておく必要がある事があります。それは1994年の米朝枠組み合意の事です。核危機の高まった1994年、クリントン政権と金正日政権との間で合意されたものです。内容はこれです。

 

 この合意を北朝鮮側が本当にすべて実施する意図があったかどうか、というのは、1994年以降合意が最終的に崩壊した2003年までの動きを見れば疑わしいわけですが、それ以前の問題として、この合意は中身に問題が多かったように思います。

 

 まず、「アメリカ側がカードを早く切りすぎ」です。核施設の解体が行われてもいない段階で、どんどん核兵器不使用の保証とか、重油の支援とかが行われていく事が合意されています。その背景には、「何をやれば何をやる」という「行動対行動」の原則をベースとするスケジュール感が必ずしも明確ではないという事があります。枠組み合意にはそれぞれのコミットメントが独立して書いてあるため、「自分はこれをやっているのに、そちらは進みが遅い。」と言い掛かりを付けやすいのです。

 

 また、プルトニウムばかりに注目するがあまり濃縮ウランでの核開発の可能性を見逃しているという問題点もありました。濃縮ウランの件は枠組み合意には書かれておらず、合意で引用した1992年朝鮮半島非核化宣言に書かれているだけです。その懸念は後日、顕在化しています。

 

 米国内政上、枠組み合意直後から上院、下院共に共和党が多数派となり、民主党出身のクリントン大統領が主導したこの枠組み合意の進捗が上手く行かなかったという背景もあります。下院の議長はあのニュート・ギングリッチでしたからね。ホワイトハウスと議会が激しく対立する中、こういう緩い合意の実施が進みにくいのは想像できるところです。

 

(なお、私は米国が合意内のコミットを満たさなかったから枠組み合意全体が進まなかったと言っているわけではありません。)

 

 この米朝枠組み合意の失敗をしっかりと踏まえて、今回は「有無を言わさず逃がさない」ための精緻な枠組みを作っていかなくてはなりません。北朝鮮はよく「行動対行動」と言っているわけですから、北朝鮮にきちんと行動させる事を求めていかなくてはなりません。