憲法改正国民投票について、中身と共に重要なのは「日程」でして、スケジュール感をよく見極めておく必要があります。私なりに考えてみると、以下の日程で来るのではないかと思います。ただ、読めば分かりますがかなりの前提を置きますので、一つでもずれると大きく異なるでしょう。あくまでも参考として。
 
【前提】
① 来年7月の参議院選挙より後にはやらない。
改選となるのは2013年当選組です。自民党がボロ勝ちした選挙で、121の改選議席の内65議席を確保しています。前回の2016年は自民党は勝ったものの56議席でした。次回65議席取るのはほぼ無理だと思います。参議院で憲法発議に必要な2/3(162議席)を確保するのは至難の業であるにもかかわらず、来年の参議院選挙後には発議へのハードルが極めて上がっている可能性が高いです。なので、来年の7月の参議院選挙後にはやらないでしょう。
 
② 来年は重要な行事が目白押しである。
4月統一地方選、5月改元(陛下の譲位)、7月参議院選挙、10月消費税増税(やらないかもしれませんが)、10月即位の礼、10-11月ラグビー・ワールドカップとなっています。こうやって見てみると、来年半ばから後半は日程的にハマりにくいです。
 
③ 一旦発議したら、そのまま国民投票に持っていきたいと思うはず。
発議後60日以後180日以内に国民投票を実施する事が法定されています。「周知の観点からはやはり長い期間を確保すべき。」という意見がある事は知っていますが、政権側からすると「早くやりたい。」と思うはずです。
 
何らかのスキャンダル等が起きて、それが憲法改正と関係なかったとしても、政権支持率低下を通じて悪影響が出てくるのを恐れるでしょう。ましてや、発議後に国会で予算委員会などやってしまうと、発議された憲法改正案について、ひたすらその穴を突かれます。案が固まっている以上、政権側は基本的にディフェンドに回らざるを得ません。「ひたすら防御。ただし、少しでもコケたら終わり。」という戦いは誰でも嫌なものです。
【前提終わり】
 
 これらをすべて組合わせると、来年2月上旬から中旬くらいにしか日程がハマらないのです。
 
 今年9月の総裁選を安倍改正案で戦い、そこで勝てば自民党内は決着するでしょう。同時並行的に公明党との協議を進め、秋の臨時国会最終盤で発議。そこから最短の60日+αで2月上旬から中旬に国民投票というシナリオです。国会法の規定上、来年1月に通常国会は開会しますが、実質的な審議はすべて国民投票後とするはずです。
 
 調べていたら、来年2月24日(日)に陛下即位30年記念式典があります。とすると、そこは無理ですので、国民投票は2月3日、10日、17日の日曜日辺りでしょう。そこから60日を逆算すると、それぞれ12月5日、12月12日、12月19日くらいまでには発議をしないといけなくなります。秋の臨時国会は「憲法国会」になり、各省庁とも提出法案は最小限にするでしょうけども、それでも結構日程的にキツいなという感じがします。
 
 別シナリオとして、①年末発議で4月の統一地方選挙と重ねる形での国民投票、②秋の臨時国会を越年して来年1月発議で参議院選挙と同時、③来年4月以降の予算成立後に発議で参議院選挙と同時というものも考えられます。
 
 ただ、①と②については予算委員会等の審議でかなり激しくやられるというリスクがあります。②は改元(陛下の譲位)の時点で、国の大本である憲法の改正が発議されておりどうなるか分からない状態である事の違和感が出てくるかもしれません。③は時間切れのリスクが極めて高いです。
 
 相当な想定を置いているので、この読みは外れるかもしれません。ただ、官邸はこれをもっと精緻にしたカレンダー書きをしているはずです。繰り返しになりますが、中身は大事ですが、それと同じくらい、いやそれ以上に日程というのは重要なのです。