昨日、法務委員会で質疑に立ちました。「共謀罪」関係です。

 

 私が「テロ等準備罪」という言葉について嫌いな事として「テロ対策という言葉を使っておけば、国民は反対しないだろ?」という思いが見え隠れする事です。こういうやり口は間違っていると思います。

 

 ただ、「そうではない」と言われるので、テロの定義について、閣議決定された政府答弁をベースに質問しました。以下の内容は概ね、この記事でよく説明されています。

 

 まず、私が提出した質問主意書(1本目)に対する答弁は以下のようなものでした。

 

【答弁書】

「テロリズム」とは、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受入れ等を強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうと承知している。

 

 これはこれで違和感がありましたが、あまりそこには踏み込まず、「では、特定の主義主張とは何か」と質問主意書(2本目)を出しました。それへの答弁は以下の通りです。

 

【答弁書】

お尋ねの「特定の主義主張」とは、一般的な意味としてのテロリズムに係る集団が行う殺傷行為等のよりどころとなる主義主張をいい、(以下略)

 

 とすると、単純でして、代入すればいいのです。そうすると1本目の答弁書は次のようになります。

 

【代入後の答弁書】

「テロリズム」とは、一般には、一般的な意味としてのテロリズムに係る集団が行う殺傷行為等のよりどころとなる主義主張に基づき、国家等にその受入れ等を強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうと承知している。

 

 この文章の意味が分かりますか、テロリズムを説明するのに、テロリズムという言葉が出て来ます。こういうのを通常は自家撞着と言います。内閣法制局でどういうチェックをしたのかなと不思議になります。

 

 通常、テロリズムの定義については、特定秘密保護法に出てくるものを参照するのが常です(もう一つ、議員立法であるドローン関係の法律でも出て来ます。)。

 

【特定秘密保護法の定義】

政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動

 

 しかし、これを今回は採用できなかったのです。何故なら、「政治上その他の主義主張」としてしまうと、範囲が絞り込まれ過ぎて、今回のテロ等準備罪をカバーできないからです。なので、テロの範囲を拡大せざるを得なかったのです。政府の事情に定義を合わせたというのが実態でしょう。しかし、無理をして定義を拡大しているため、詰めてみると自家撞着するものしか答えられなかった、そういう事だと思います。

 

 これは「共謀罪」、「テロ等準備罪」の中身以前の問題です。だから、私は言っているのです。「テロを喧伝して、この法律を通そうとするのは適当ではない。将来に禍根を残す。」と。

 

 政府が最初に与党に提示した法案には「テロリズム集団」という言葉は入っていませんでした。法務省、外務省の心ある官僚の方々の矜持の現れだと思います。これが無理筋だという事は分かっているのです。それを世論対策のために、強引に盛り込まされている事には心から同情します。