【要旨】

4/7内閣委員会で質疑立ち。TPPの暫定適用、今後の日米交渉における農林水産品の扱い等、更に一年未満で廃棄される文書へのルールの必要性についてそれぞれ質疑。

 

【本文】

 昨日、内閣委員会で質疑に立ちました。TPPと公文書管理について質問しました。

 

 まずは、TPP(+α)です。先日、TPPについては、既に確定した協定から一部だけを切り出して(米国抜きで)暫定適用する可能性について報じられていました。報道の中で、国際法上の論点がきちんと整理されていたので、「誰かの観測気球兼リーク」なんだろうなと思いました。これは戦後、GATTが成立した時の手法です。元々は関税とか貿易のみならず、幅広い分野を含むハバナ憲章というものがあったのですが、発効のための締約国が揃わなかったので、GATT部分だけを切り出して暫定適用したという事です。

 

 そういう事は石原大臣は考えていないという事でしたが、法的に可能かと聞いたら、武井外務政務官から「そういう事を行うなら、国会承認が再度必要。」との答弁でした。暫定適用とは言え新しい条約になるので当たり前と言えば当たり前なのですが、「考えていないので検討していない。」くらいまで下がった答弁かと思っていたので、法的には可能だという事を示唆していた事は興味深かったです。この部分は日本農業新聞に取り上げられました。

 

 その後、今後の日米関係において、農林水産品についてTPPでの保護水準から更に譲歩する事はないのか、という事を聞きました。これまでも何度も質問されている内容ですので、答弁は真新しいものはありませんでした。細田政務官の答弁は、① しっかり守る、②貿易、生産、流通実態を一つ一つ勘案して、③センシティビティに十分に配慮する、という既存のラインでした。私は少し聞き間違えておりまして、「個別品目のセンシティビティに配慮する」と言ったのだと思っていたら、後で聞き直したら違いました。となると、答弁としては弱いですね。これでは農林水産業関係者は納得しないでしょう。

 

 その後、少しアンチダンピングについて触れた後、日EU経済連携協定とBREXITとの関係について聞いています。日EU経済連携協定については、農林水産業で輸入の関税割当てを設定する交渉をしているはずですが、英国が外れたら、英国分は関税割当の数量から外すべきではないかという問をしました。ここは技術的ではありますが結構重要なポイントでして、英国からの輸入実績が多い品目については外していかないと、他のEU諸国に過度な割当枠が行くので変な話になります。答弁はあまり芳しくありませんでしたが、本件は今後注視していきたいと思います。

 

 一つ気になったのは「英国は今後、WTO再加盟交渉をすることになると理解している」という点でして、「ああ、そういう事なのか。」と思いました。ゼロから再加盟交渉するのですかね。実はアフリカのフランス語圏の国は古くからGATT/WTOのメンバーですが、記憶は定かでないものの、仏連邦の一員として当初からGATTが適用されていたのではないかと思います。なので、独立後、極めて簡易な方法で入っているのではないかな、英国のケースはそれとは違うのかなと考えており、ちょっと調べてみたいと思います。

 

 後半は公文書管理関係です。これは森友学園関係での財務省の協議記録、防衛省のPKO日報との関係です。いずれも「保存期間一年未満」として廃棄されたものです。保存期間が一年未満ですと、管理簿不要、廃棄記録不要という事ですので、なんら後世に残すものがありません。

 

 まず、私から「一年未満の文書というのは『極めて軽微な内容のもの』ではないか。」と聞きました。公文書管理法等では、保存期間の定め方の中に「一年未満」というものはありません。「歴史公文書等は一年以上の保存期間とする」と書いてあるのを裏返してみれば、「歴史公文書等に当たらないと判断すれば一年未満で廃棄して構わない。」という解釈を導き出しているだけです。山本大臣は言を左右しましたが、最後は「軽微な内容である」という事を認めました。

 

 では、防衛省のPKO日報はどうなのか、財務省の協議の記録はどうなのか、という事になります。本来、防衛省の文書管理規則ではPKO業務に関するものの保存期間は3年です。国有財産関係でも重要な記録については10年です。日報や協議記録が、それらの保存期間の対象でない理由は何かという問をしています。その答弁は明確なものはありませんでした。保存期間が一年未満なものが何なのかは各省庁の判断にゆだねられています。「歴史公文書等に当たらないと自分が判断したら、そうなのだ。」というジャイアン的解釈が許容されているのです。

 

 では、協議の記録が廃棄されていたら、会計検査に際して会計検査院は困らないのかと聞いたら、なかなか答えにくそうでした。最終的には「そういう文書が残っていない事がどうなのかという事も含めて検査の対象とする。」と答弁がありました。厳しくやってほしいと思います。

 

 こうやって考えていくと、一年未満文書のあり方についても要件をきちんと定めていかないといけません。本当はこんな箸の上げ下げ的な事は好きではありませんが、やらないとPKO日報、財務省の協議の記録のように、明らかに保存期間一年未満とは思えないものが(恐らく証拠隠滅的な思惑を以て)廃棄されていくわけです。各省の文書管理規則のみならず、それにぶら下がる細則的なものも含めて内閣府公文書管理担当の方でチェックを入れる等の方策を考えてほしいと質問しました。山本大臣からは「ガイドラインの見直しを今年度内に行う」といった答弁がありました。年度内と言わず、出来るだけ早くこれは進めてほしいところです。

 

 それなりに面白い質疑になりました。毎回、全く異なるテーマを勉強するのは大変ですけど、一つ一つ勉強を進めていきたいと思います。