私が提出し、答弁が戻ってきた風営法に関する質問主意書について、どうも世間に「読み違い」が流布しているようです。これは「霞が関文学」の最たるものでして、読み違えることは仕方ありません。本件はもう少し情報が揃ってから思いをまとめる予定でしたが、誤解を放置しておくと良くないと思いますので、ここで投稿しておきます。

 

 まず、答弁書の中で注目されているのはこの2つです。

 

【答弁書】

① 六について

客がぱちんこ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することもあると承知している。

 

② 七について

ぱちんこ屋については、客の射幸心をそそるおそれがあることから、風営法に基づき必要な規制が行われているところであり、当該規制の範囲内で行われる営業については、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。

 

 これを受けて、世間では「ぱちんこの換金を政府が認めた。」、「三店方式にOKを出した。」といった評価になっているようです。しかし、よく読んでみると、そんな事は何処にも書いてありません。

 

 まず、①ですが、これは景品の換金行為がなされている事を承知していると書いてあるだけです。それに対する法的な評価はありません。そして、②について、まず、冒頭の「ぱちんこ屋」が何を指しているかですが、これは風営法上の「遊技」としてのぱちんこを指しています。つまり、遊技をさせて景品を渡す、これだけです。なので、そういう遊技であるぱちんこは賭博に当たらないという、いわば当たり前の事を当たり前に書いているだけです。

 

 ①と②が並んで書いてあるのでどうしても誤解したくなりますが、それぞれの答弁をよく読むと何処にも「換金行為がOK」、「三店方式がOK」などということが読める内容ではありません。

 

 つまり、答弁のこの部分だけでは、そこまでの驚きはないはずなのです。重要なのは、①と②を結びつけた時の判断です。換金行為があった時に賭博行為に当たる事例は無いのか、という事になるでしょう。

 

 なので、私は再質問主意書を提出しています。色々な事を書いていますが、その問四で以下のような質問をしています。

 

【再質問主意書(抜粋)】

答弁書の「六について」及び「七について」に関し、客がぱちんこ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却した結果、風営法に基づく必要な規制の範囲を逸脱し、それが刑法第百八十五条に規定する罪に該当する事はあり得るか。ある場合、どのような状況下でそれが起こるかを答弁ありたい。

 

 霞が関文学というのは、一語一語をよく追わないと読み間違えますので要注意という好事例でした。

 

 ただ、それを差し引いたとしても、先の質問主意書答弁については「画期的」な部分があると思っています。なお、何度も言いますが、私は遊技産業に対する特段の感情はありません。また、一連の主意書は誰かの働きかけを受けてやっているものでもありません。あくまでも法的論点の詰めをやっているだけです。