【以下はFBに書いたものを大幅に修正、加筆したものです。】

 

 舛添知事の件について、私も「おかしい」と思いますが、その「おかしい」はもう少し整理する必要があるとも思います。それは「誰に対して、舛添知事は説明責任を負っているのか。」ということです。大きく分けて、①支援者、②都民、③国民に分けられると思います。ここをよく分けずに、すべて一緒くたにした議論が多いので整理します。

 

① 支援者に対する説明責任

 まず、政治資金一般の使途については、支援者からの御厚志(寄付等)が原資であるのなら、舛添知事がアカウンタビリティを果たす相手はまずは御厚志を頂いた対支援者です。政治資金規正法において、何が「政治活動」であるかは記述がないため、最終的には御厚志を頂いた方が納得するかどうかが判断材料になるでしょう。

 

② 都民に対する説明責任

 出張時のファースト・クラス、スイート・ルーム、更には湯河原の別荘通いについては、これはすべて都民の税金で支弁されています(特に東京都は地方交付税を貰っていないので尚更です。)。これについては、都民に対する説明責任になります。都民が見てどうかが最終的な判断材料です。

 

③ 国民に対する説明責任

 私が一番「ダメだ」と思うのは、新党改革代表時に受領した政党交付金の不透明な処理です。これは原資が国民の税金です。

 

 政党助成金については、例えば我々の政党であれば、、(舛添知事がやったような)政党支部から自分の政治団体への資金移転は不可です。何に使ったのかが分からなくなり、説明責任が果たせないからです(一種のマネー・ロンダリングとすら言えます。)。かつ、例えば、(当然ですが)飲み食いにも使えません。普段からそういう運用に慣れているので、舛添知事が不透明な処理をしていた事に驚きました。

 

 この3つにきちんと分けて議論すべきだと思います。そこを分けない「コメンテーター」の情緒的な議論には違和感を覚えます。

 

 今回の舛添知事の政治資金問題は、第三者たる弁護士が言っていたように「不適切」ではありますが、たしかに残念ながら「違法性」はありません。「不適切」なだけでも大問題だとは思いますが、法律で縛りを掛けない限り、また同じような事例が生じ得るでしょう。

 

 その上で改善策を述べれば、③への対応として、やはり政党交付金の使途にはもう少し縛りをかけるべきです。考え方としては、(既に我々がやっているように)政党以外の団体には資金を移転出来なくする、使途を制限する、といった事が考えられます。「なんだ、それだけか」と思われるかもしれませんが、実際の経験からして相当な効果があります。

 

 もう少し踏み込んで、①への対応として、一般的に政治資金規正法に政治資金を支弁してもいい「政治活動」の定義を置くことは意義深いと思いますが、これはハードルが高いだろうなと思います。ただ、よく考えてみると、「飲み食い」の支出が多い政治家は結構居ますけど、選挙区内の方に奢ると「買収」になるので、地元で政治資金での飲み食いの額が膨大な政治家はそこが疑われるべきでしょう。

 

 ②については、都の「公務」に対する考え方を整理するところからです。ここは都庁の自浄作用と都民の厳しい目線に期待するばかりです。

 

 頭をクールにして考えるとこういう事だと思います。いずれにせよ、余りにセコい事だけは事実です。出処進退を明らかにすべきです。