先日、内閣委員会で15分だけ質問時間を頂きました。今国会も終盤に入ってきて、残すところ閣法としては「宇宙関係2法案」だけになりました。そんな中、一般質疑の恐らく最後の機会という事で、私がかねてから課題としていた「日展改革」について、気になっていることを質問しました。

 公益法人日展については、平成25年10月に朝日新聞が不正疑惑を取り上げて、大問題になりました。日展五科の書、特に篆刻の分野の賞の選考において、日本芸術院会員を務める日展顧問が差配をしていた、その際に金銭のやり取りがあった、そういう慣行が篆刻のみならず、書全体にもあったということでした。これらについては、日展が設置した第一次第三者委員会でそのような事実があったことは否定できないとの結果でした。

 その後、色々な事があったのですが、大きな所だけを言うと、①公益法人法に基づく内閣府からの報告要求があった(法令に基づくものでかなり厳しい措置です)、②にもかかわらず、日展内で不正疑惑もみ消しの動きがあった(が、内閣府に厳しく怒られて取り消した)、②平成26年は日展には文化庁の後援は付かなかった、④その後、改革が進められた、⑤平成27年は日展に文化庁後援、文部科学大臣賞、内閣総理大臣賞が許可された、そんなところです。

 経緯については、内閣府と文部科学省の作成した以下のクロノロジーが詳しいです(不祥事部分はかなりぼかして書いていますが。)。
 
 一方で、私の所には、昨年8月投書が来まして、①改革された日展で禁じられている(審査員への)謝礼金の慣行は改まっていない、②同じく禁じられている(審査員による)事前の下見も引き続き行われている、という趣旨のものでした。

 ただ、出所不明の情報であることもあり、慎重に対応しました。まず、内閣府、文化庁にその投書の内容を伝え、確認を求めました。両省からは「現時点(昨年8月)で、平成27年日展の選考が進んでおり、確認をすることは選考プロセスに影響を与えるので、平成27年日展が一段落したら調べたい。」というものでした。

 それはそれで理解できるので、一段落した昨年末に確認してもらったところ、①金銭の授受はあったが、それは日展の賞をめぐるものではなく、金銭を受け取った書家(昨年、日展審査員)の個展に対するお祝いだった、②たしかに研究会は行われたが、それは従来行っているものであった、という趣旨でした。もう一つ付け加えれば、金銭を受け取り、下見会を行ったのは、その書家が平成27年日展審査員として任命される前の事であり、問題ないという事もありました。

 ただ、この手の展覧会の審査員は突然任命されるものではなく、事前にある程度の心証を持っているはずでして、私への投書でも、「昨年春くらいの段階で、当該書家は『今年は自分が審査員をやるだろう』と公言していた」そうです。そういう人物に対して、個展へのお祝い目的だからといって(日展で賞を目指す)門下生が金銭を渡す行為はおかしいでしょうし、そういう人物が下見をする会も違和感は拭えません。これが可能なのであれば、日展の改革などすべて脱法的に骨抜きになっていきます。

 そういう事を踏まえて、内閣委員会で公益法人のコンプライアンスという視点から質問しました(映像はココ)。結構、コンパクトに分かりやすい質疑だと思いますので、是非ご覧になってみてください。

 感想としては、内閣府は厳しかったですね。担当室長は「(そういう事が行われていることは)改革の方向に反する」と明言し、具体的な事実関係を調査することを約束しました。期待したいと思います。

 逆に文化庁は極めてガードが堅かったです。当初、不正審査疑惑が出た時は、当時の下村文部科学大臣は「膿を出し切る」とまで言っていたのですが、どう見ても、その気概はもう薄くなっています。昨年8月に投書が来た時に指摘した際から感じていたのですが、どうも日展側に立った姿勢が目立ちます。昨年、後援を付与し、文部科学大臣賞、内閣総理大臣賞を出してしまった手前、今でも問題があるとは言えないのでしょうけども、その理屈は完全に本末転倒です。文化庁のこのアンチ改革マインドは問題が多いです。

 今後の動向次第ではまた、内閣委員会か、文部科学委員会で取り上げたいと思います。いつも言っていることですが、私は芸術の中身に関わることはいたしません。単に芸術家の方々が自由闊達に創作活動をする事が出来るような基盤を整えたい、それだけです。