来年の通常国会から、内閣委員会野党筆頭理事を務めることになりました。結構重い仕事でありまして、身の引き締まる思いです。

 ということで、所管である内閣府、内閣官房、警察庁関係の法案説明をポツポツと受けています。説明を受けてみて分かるのが、「内閣府、内閣官房にはありとあらゆるものが押し込まれている」ということです。ここに日本の行政制度の矛盾のようなものが出ているような気がします。

 まず、内閣官房の組織図内閣府の組織図をそれぞれ見ていただくと分かりますけども、ともかくありとあらゆるものが入っています。組織があるという事は、当然、そこには人が張り付けられているということになります。

 簡単に言うと、内閣としてとても重要だと思う政策をきちんと大所高所から把握するというのが内閣官房、全省庁を見渡してみて総合調整が必要な分野を担当するのが内閣府、そんなイメージです。ただ、実際に見ていると、そんな原則が崩れそうなくらいありとあらゆるものが内閣府や内閣官房に入ってきています。内閣府の大臣官房は、全然性質の異なるもの全体を統括するわけですから、頭がこんがらがるだろう、本当に一つ一つの政策をグリップできているのだろうか、と心配したくなります。

 国会側で見ていても、今年の通常国会に内閣委員会に上がってきた法案(内閣提出、議員提出)は以下のようなものです。勿論、警察関係もあるので、すべてがすべて内閣府、内閣官房関係ではありません。ただ、パッと見て「相互に関係の無いものが多いよな」と思われる方は多いでしょう。

● 国民経済及び国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある通商に係る交渉に関する情報の提供の促進に関する法律案(岸本周平君外3名提出、衆法第19号) 
● 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案(細田博之君外9名提出、衆法第20号) 
● 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等及び外国公館等の周辺地域の上空における小型無人機の飛行の禁止に関する法律案(古屋圭司君外5名提出、衆法第24号) 
● 歳入庁の設置による内国税並びに労働保険料及び年金保険料等の徴収に関する業務の効率化等の推進に関する法律案(今井雅人君外6名提出、衆法第31号) 
● 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(内閣提出第8号) 
● 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第26号) 
● 個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第34号) 
● 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第38号)(参議院送付) 
● 内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律案(内閣提出第54号) 
● 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第55号) 

 もっと変なケースになると、議員立法で新たな取組をしようという事になって、国会に議員立法が提出されても、何処の役所も「うちの所管ではない」と言い張った結果、国会では内閣委員会に落ちてくるということもあります。そうすると、委員会が内閣委員会だったので、その議員立法が成立した暁には、それを担当する部局が内閣府に出来てしまうといったことすらあります。

 個人的には、内閣委員会は広く勉強できるという事でとても楽しみにしているのですが、ただ、その「広く」のところがともすれば「誰も引き取りたくないから、とりあえず内閣府か内閣官房さんで。」みたいになっている一面があると思う時、問題は深刻なのだと痛感します。