アメリカが南沙諸島で監視警戒活動をやり始めています。日本はこれを支持しています。

 私はいずれ、この警戒監視活動への参加を求められるのではないかと見ています。色々な可能性があると思いますが、その中で「給油活動って、可能性はあるのではないかな。」とかねがね思っていました。

 ある意味、一番やりやすくて、リスクの少ない活動だと思うのです。対象となる環礁から12カイリ以上離れてやる事になるでしょうから、場所的には完全に公海です。誰に文句を付けられる筋合いでもありません。事情も、根拠法も異なりますが、アメリカ海軍との関係ではインド洋での経験もあります。

 そういう思いがあったので、平和安全特別委員会の審議をしながら、気になったので関係する自衛隊法の条文(100条の6)を見てみました。驚いたのは「給油のみ」をする活動が可能になっていないのです。可能なのは、一緒に警戒監視活動をする中で相互融通することは可能というところまでです。

 これは法的にハードルがそれ程高くないので、やれる事のメニューに入れておいた方がいいのにと思って、私は平和安全法制の審議で本件について質問しています。ちょっとあちこちに話が飛んでいて、読みにくい所がありますが、「ニーズが無い」という中谷大臣の答弁にはちょっと驚きました。

【平成27年6月29日平和安全特別委員会(抜粋)】
○緒方委員 (略) それともう一つ、これは平時の状態を想定しての質問ですけれども、私は、南シナ海で警戒監視活動をするアメリカからの要望の中でどういうものがあり得るかなということで、自分でいろいろ想像をめぐらせてみました。

  今、P3Cの話、これも一つあり得るだろうと思います。それともう一つあるのではないかなと思っているのが、給油に来てくれないかというようなことが、実際に警戒監視活動をしている米軍の艦船に対して給油に来てくれないかという要望があり得るのではないかというふうに私は思います。

  米軍への給油活動というのはインド洋でも行ってまいりました。それと全く対応が同じだということではありませんが、これから米軍艦船が南シナ海で警戒監視活動を行うときに、警戒監視活動そのものに参加してくれる必要はないけれども、給油に参加してくれないかということがあり得るのではないかというふうに思いますが、これは今回改正される自衛隊法において可能でしょうか、大臣。

○中谷国務大臣 まず、重要影響事態ですね。(緒方委員「いや、平時で、今のような状態で、警戒監視活動をやる」と呼ぶ)平時におきまして。

  かつて、テロ対策特措法におきまして燃料補給の支援活動を行いましたが、現在はそのような法律がないということでございます。

○緒方委員 あくまでも今、例えばあしたとかあさってとかいうことではないですけれども、特に重要影響事態が生じているとかいうことではなく、今南シナ海でかなり緊張があることはわかりますけれども、今の法律上の整理でいうと、現時点では平時であります。

  その平時において、米軍艦船が普通の警戒監視活動をやっているときに、給油活動のみを目的としてその活動に協力していくこと、これは今の大臣の答弁ではできないということでありましたが、それでよろしいですね。もう一度、確認です。

○中谷国務大臣 現在、米国とはACSAを締結しております。現在の法律の範囲内で実施することはできますが、あくまでも法律の範囲内ということでございます。

○緒方委員 今回改正される自衛隊法第百条の六のところに、「合衆国軍隊に対する物品又は役務の提供」という項目がございまして、それを読んでみると、給油活動に来てくれという要望に対して応えるだけのメニューがそろっていないというふうに私には見えるんですけれども、大臣、その認識でよろしいですか。

○中谷国務大臣 現在は、法律によって限られた場合だけでございます。

○緒方委員 後ろの方からのサポートがあっても結構ですので。

  今回改正される法律において、今米軍が警戒監視活動をやっていることに対して、給油のみを目的として協力、支援をしてほしいという要望があるときに、その要望に応えるだけのメニューがこの自衛隊法第百条の六に書かれておりますでしょうかという質問でございます。

○中谷国務大臣 今回、自衛隊法百条の六を改正するわけでございますが、新たに追加されるということにおきましては、まず、警護出動、そして海賊対処行動、そして弾道ミサイル破壊措置行動、機雷、危険物の処理、そして外国における緊急事態に際しての邦人の救出、警護、また、船舶、航空機による外国軍隊の動向に関する情報その他我が国の防衛に関する情報収集のための活動とありますが、あくまでも、日本と米国がともに活動している場合、それに限られるわけでございます。

○緒方委員 ということは、補給艦を出して給油に来てくれと、インド洋でやったようなああいうオペレーションについては、これはアメリカとのガイドラインをさまざま議論してつくられたんだと思いますけれども、現在、日米の関係において、この給油活動、補給の活動についてはニーズがなかったということでよろしいですね、大臣。

○中谷国務大臣 ともに警戒監視をやっているという場合においては可能ではないかと思います。

○緒方委員 いや、それはわかっております。

  そうではなくて、ともに、実際に一緒にそういう警戒監視活動をやっていて補給活動をするのではなく、純粋に補給艦だけで行ってということについては、これはニーズがない、ニーズがないから自衛隊法第百条の六のところに書き込んでいないんだということで、大臣、よろしいですね。

○中谷国務大臣 この法律の規定によりますと、米軍に対する物品、役務の提供に関しては、以下の活動また行動を行う自衛隊の部隊とともに現場に所在して同種の活動を行う米軍を対象に追加するとなってきております。

○緒方委員 つまり、それが行えないということなんですよね。補給活動のみを目的として自衛隊が米軍に、例えば南シナ海で警戒監視活動をやっている米軍の艦船に補給活動に出るということはできないというのがこの自衛隊法の規定であります。

  それは、とりもなおさず、ニーズがないということでよろしいですね、大臣。

○中谷国務大臣 米軍単独ではできませんし、ニーズもございません。

○緒方委員 本当ですかね。アメリカがこうやって警戒監視活動をしているときに一番に来そうなオペレーションだというふうに思いましたけれども。

  いずれにせよ、この件については、もう一度確認であります。

  大臣、給油に来てほしいという要望は、アメリカから来ることはおよそ想定されない、だから、法律に書き込まなかったのだということでよろしいですね、大臣。

○中谷国務大臣 アメリカが単独で行動している活動につきましては、ACSAの支援ができないということでございます。

○緒方委員 それは法律に書いてあるとおりなんですが、つまり、そういう要望は来ることが想定されていないということで、それで、大臣、よろしいんですよねと確認であります。

○中谷国務大臣 今はそういうニーズはございません。
【終】

 どうも、気になって仕方ないのです、本件。