強制退去手続き中のパキスタン人の方が、入国管理局で豚肉を食べさせられたということで問題になっています。報道はココです。

 強制退去になる事由が何であったかということはありますが、ムスリムの方との接点という事であれば100%アウトです。「好き嫌い言わず、食べろよ」といったレベルの話ではありません。我々が想像することが出来ないくらい重大な事です。

 15年くらい前に、インドネシアで味の素事件が起こりました。これは何かと言うと、味の素を作る際に豚肉抽出の酵素を触媒として使ったことが問題になりました。あくまでも触媒ですので、最終的には豚肉抽出の酵素は味の素の中には残っていません。つまり、豚を食べさせたとは言えません。しかし、製造過程で触媒として使っただけで味の素インドネシアは不買運動等、かなりの被害を被りました。

 今回の事件、誇張でも何でもなく、担当した方は身の危険を感じた方がいいと思います。私が上司ならば、配属替えをして素性、行き先等が分からないようにします(その旨は法務省には伝えます。)。ムスリムとしての根幹を汚されたと思っている人が復讐を考えたとしても全く不思議ではありません。

 こういうイスラームに伴う問題というのは、西欧的価値観とは全く異なります。豚肉を食べさせる行為は、日本の刑法上、何らかの構成要件に該当するかと言えば、相当に難しいと思います。民法上、何らかの対応が可能かと言えば可能でしょうが、それ程大事に捉えられるようなことはないでしょう。コーランを燃やす行為も同じです。せいぜい器物破損罪と損害賠償です。

 しかし、ムスリムにとっては自分の存在意義そのものに関わる話です。法律とかを遥かに超えた出来事です。

 「ルールを守って国際化」、入国管理局のスローガンです。入国管理局は余計な揉め事を起こさないためにも、きちんと国際化すべきでしょう。