金曜日はダブルヘッダーで、外務委員会、安全保障委員会で質問しました。安保委員会は諸般の事情からのピンチヒッターでした。質疑の映像はココです(Windows MediaPlayer)。

 外務委員会では、まず、我が街北九州市が行っている国際協力について言及しました。2013年度予算で、自治体の国際協力をODAで後押しすることが入りました。手前味噌になりますが、2012年末頃、2013年度予算編成でこれを盛り込むよう頑張りました。その後、総選挙で敗北してしまいましたが、政権が代わっても残ったようでして、嬉しかったですね。

 北九州市や水道、環境といった分野で東南アジアでの国際協力を推し進めています。そういう取り組みが強いのは、あとは横浜市くらいでして、なかなかその後が続きません。トップランナーとして、うちの街は頑張っています。それをODAで後押ししております。その確認と将来像について薗浦政務官、岸田外相に答弁を求めました。これをきっかけに、我が街の国際協力がビジネスに繋がっていくことを後押ししていきたいと思います。

 その後、村山談話、河野談話について聞きました。

 よく「全体として引き継ぐ」と言われ、その「全体として」という表現がよく分からないので、法令用語で引用されているものを例にその意味を問いました。

【税制改革法第四条第二項】
今次の税制改革は、全体として税負担の軽減を図るとともに、国及び地方公共団体の財政運営に基本的に影響を与えることのないよう配慮して行われるものとする。

 これを読んでみると、普通に思うのは、この税制改正では一つ一つの税項目は増減があるけども、全体としてみれば税負担は軽減されている、そういうふうに読めます。実際、そういう答弁でした。

 とすると、「全体として」引き継ぐということは、一つ一つのパーツについては引き継ぐものも、引き継がないものもあるけど、全体の方向性としては引き継ぐというアナロジーを見出す事が出来ます。岸田外相は絶対にそう認めませんでしたけど、「全体として」というのは法令用語上、そういう使い方をしている以上、そうでない理屈は苦しく聞こえました。

 その後、いつも聞いている「村山談話、河野談話の骨子を出してほしい」という質問をしました。何度か書きましたけど、全体として引き継いでいる以上、骨子くらいは引き継いでいるだろうという推定の下に骨子を求めています。これまでの理屈は「村山談話、河野談話は練りに練って作られたA4で1枚程度の内容であり、その一部を取り出して骨子を作ることは誤解を与えるので、そのまま読んでほしい」という感じでした。

 今回は色々と調べていたら、こういう答弁が見つかりました。周囲の議員から「よく、こんなものを見つけてくるよな。」と感心されました。

【衆議院予算委員会(平成18年10月06日)】
○安倍内閣総理大臣 この河野談話の骨子としては、慰安所の設置や慰安婦の募集に国の関与があったということと、慰安婦に対し政府がおわびと反省の気持ちを表明、そして三番目に、どのようにおわびと反省の気持ちを表するか今後検討する、こういうことでございます。

 素直に、「これは河野談話の骨子で良いですよね。」、「それは受け入れていますよね。」という問いをしましたが、岸田外相、内閣官房参考人はいずれも首を縦には振りませんでした。内閣官房参考人は、その問いに対しても「練りに練った談話の一部を取り出して骨子を作ることは誤解を与える」と、上記総理答弁の存在を全否定するような答弁でした。

 分かっていただけると思いますが、「骨子」を作成するというのは別に価値判断を伴いません。単なる作業です。その作業の結果として、過去に安倍総理大臣が述べた骨子の踏襲すら否定するということ自体が、今の政権のおかしなところ、息苦しさを体現しています。

 ただ、党内ハト派で健全な保守を体現する岸田外相にこの質問をしても切なくなってくるだけであることもよく分かっています。私がこの質問をする時の、岸田大臣の「困ったな」と言わんばかりの辛そうな顔がとても印象的なのです。多分、心の中で「俺だってこんな答弁したくないよ。分かってくれよ。」と言いたいのだろうなと拝察いたします。

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