集団的自衛権に関する議論で、よくよく考えてみると、混乱していることに気付きます。

 これが「自衛の措置としての武力の行使の新三要件」です。

● 我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
● これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
● 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

 これが「集団的自衛権」容認であると書いてあって、それを前提に世の議論はなされていますが、その前提が違っているのではないかと思います。

 これは「自衛の措置としての武力の行使の三要件」でして、別に集団的自衛権にのみ適用されるものではありません。個別的自衛権の行使にも適用されます。

 ここで、そもそも論に戻ってみたら、この要件を満たすのであれば、すべて個別的自衛権で対応できるというふうに考える事が出来ます。その中には、これまでの「解釈」として集団的自衛権に入っていたものも、個別的自衛権で「も」対応できるようになるということになります。多分、公明党的にはそういう説明なのではないかと思います。

 と考えると、現在提示されている法理で行けば、ホルムズ海峡の機雷掃海も個別的自衛権でやれるし、邦人救出の米艦防護も個別的自衛権でやれるということになります。つまり、集団的自衛権なんて概念を持ち出す必要もないということかもしれません。

 とすると、ホルムズ海峡で機雷封鎖が行われていたら、そこに何処かの国の個別的自衛権の行使があって、それを補佐する意味からの集団的自衛権として掃海を行うなんてことは全く必要ありません。ホルムズ海峡で機雷封鎖が行われているその事実だけを以て、それが存立事態である以上、日本は個別的自衛権を行使しうるということになります。

 違いますかね。理解が悪ければ、ご指摘ください。