今日、外務委員会で1時間質問しました。映像はココです(Windows Media Player)。内容は村山談話・河野談話、東京裁判、安保法制でした。簡単に言えば、以下のような内容でした。

● 村山談話・河野談話
 これらの骨子について、問うたものです。一度、本件については質問主意書を出しておりまして、その時のやり取りはこのようなもの(質問答弁)でした。この答弁については、骨子と呼べるものではなく、単なる経緯の説明に過ぎません。

 ということで、論旨の組み立てとして、まず、前回の予算委で中谷大臣が述べた昨年7/1の安保法制閣議決定の骨子について確認いただき、それを踏まえて、同じくらいの内容の厚み、濃さを持って、村山談話・河野談話の骨子について述べていただくよう求めました。

【参考:平成27年3月5日予算委員会速記録(抜粋)】
○ 緒方委員:(略)安保法制について、中谷大臣、まず、昨年七月一日の閣議決定のその骨子はいかなるものでしょうか、お答えください。
○ 中谷国務大臣: (略)やはり、いかなる事態においても国民の命と暮らしを守り抜くということ、そして、国際協調主義に基づいて国際社会の平和と安定のためにこれまで以上に積極的に貢献するために閣議決定を行ったわけです。
 まず、一、武力攻撃に至らない侵害の対処、二、国際社会の平和と安定への一層の貢献、三、憲法九条のもとで許容される自衛の措置といった、安全保障法制全般の課題について検討を行い、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法整備を進めているところであります。
 このうち、第三の、憲法九条のもとで許容される自衛の措置については、我が国を取り巻く安全保障環境が大きく変化をしまして、他国に対する武力攻撃であったとしても、我が国の存立を脅かすということも現実に起こり得るということを踏まえて、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福の追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないとき、そして必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されるという判断に至ったわけでございます。

 7/1の閣議決定の骨子について、これだけ言っているのですから、村山談話・河野談話の骨子についてもしっかりと述べてください、と何度もしつこく聞いて、最終的には、慎重な検討をしたうえで答えるという趣旨の答弁がありました。これは政府側から出て来るものを待ちたいと思います。

● 東京裁判
 これも2回質問主意書で聞いたもののフォローです(質問1答弁1質問2答弁2)。最初はこの答弁書を再確認するような質問でした。

 確認できたのは、以下のようなものでした。

① サンフランシスコ平和条約で受諾したのは、単なる刑の宣告ではなく、東京裁判全体(以下の答弁を確認いたしました。)。

【平成10年4月7日 参議院総務委員会(政府説明員答弁抜粋)】
「この極東国際軍事裁判に係る平和条約第十一条におきましては、英語正文でジャッジメントという言葉が当てられておりますが、このジャッジメントにつきましては、極東軍事裁判所の裁判を例にとりますと、この裁判の内容すなわちジャッジメントは三部から構成されております。この中に裁判所の設立及び審理、法、侵略、太平洋戦争、起訴状の訴因についての認定、それから判定、これはバーディクトという言葉が当てられておりますが、及び刑の宣言、これはセンテンスという言葉が当てられておりますが、このすべてを包含しておりまして、平和条約第十一条の受諾が単に刑の宣言、センテンスだけであるとの主張は根拠を有さないものと解しております。」

② 日本は、国と国との関係において、東京裁判の内容のどの部分についても異議を唱えない。
③ そして、それらの見解は、現政権のみならず、第二次、第二次改造の安倍内閣でも踏襲されていた。

 安倍政権として、東京裁判について受け入れたのはそのすべてであり、かつ、どの部分についても異議を唱えることはしないという、結構重要な答弁だったと思っています。

 あと、最近、第二次安倍内閣で国務大臣を務めていた稲田自民党政調会長は全然違うことを言っています。ということは、閣僚時代は東京裁判について(主文でなく)すべて受け入れいていたけど、閣僚を離れたら違う意見を述べているということになります。

● 安全保障法制
 色々とやっていますが、私が「おかしいだろ?」と言っているのは以下のようなことです。

 今の政府はこういうことを説明しています。

① 政府の既存の見解は以下のようなものである。
【衆議院議員稲葉誠一君提出「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問に対する答弁書(抜粋)】
国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもつて阻止する権利を有しているものとされている。
我が国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであつて、憲法上許されないと考えている。

② そして、政府は「上記の見解の基本的な論理を維持している。」と言う。
③ 更には、政府は「その結果として、集団的自衛権が行使できる。」と言う。

 この①→③までの流れを見て、頭に「?」が付く人が大半だと思います。実は、政府の言う「既存の政府見解の基本的論理」と言うのは、上記見解の「解しており、」までであって、それ以下は基本的論理ではないのだということなのです。

 「それを論理的に理解する国民はいない。もう『基本的な論理を維持している。』という言い方は止めた方がいい。国民を惑わすだけだから。」、これが私のメッセージです。

 1時間やるのはキツいですね。ただ、答弁する大臣はもっとキツいでしょう。