10日、予算委員会第二分科会において質問しました。映像はココです(Windows MediaPlayer)。お題は公職選挙法、政治資金規正法です。

 我々議員職にある者がとても苦労するのは、「違法な寄付」との関係です。まず、「会費」というのは違法ではありません。では、封筒の表に「会費」と書けば会費と認識されるかと言えばそうではありません。一般論として、「その場にいる方が等しく負担している金銭」を会費と呼びます。

 その観点から、「何らかの祝賀会に招待を受けた。その場では食事は出るし、お土産も持たせてくれる。しかし、会費が明記されていない。この時に、概ねの相場観として1万円包む行為は違法な寄付に当たるか。」と聞いたところ、それは「違法な寄付」だということでした。その後、「盆踊りに会費を持っていくのは違法な寄付か。」と聞いたら、「典型的な違法な寄付だ。」という答弁でした。

 後者はともかくとして、前者は辛いのです。対応方法は2つ。高市大臣が言っているように主催者に「議員向けの会費を明記してもらうよう求める。」、又は「タダ食いしてくる。」、このどちらかです。「明記してもらうよう求めればいいではないか。」と思われるでしょうが、それを求めにくい場面というのが結構あるのです。日本の謙譲文化の中で、主催者がある程度のお包みは期待しているものの「議員さんにそれを明示的に言うのは失礼。」みたいなところがあります。そこで「いえいえ、お気持ちだけで。」というお答えを頂いてしまうと、それ以上押し込んでお願いすることがどうしても難しいことがあります。

 なので、私から高市大臣に「総務大臣と地方自治体との関係の中で、各自治体、議会に、公選法の解説とは別に分かりやすいものを提示し、それを各自治体が自治会、町内会、業界団体等に広くお願いするようにしてほしい。」と話をしました。一応、そういう取り組みは行っていますが、例えば、私は埼玉県加須市議会のこの文書はとても良いと思います。市議会主導で、こういう文書を広く頒布することはとても意味あることだと思います。

 次に政治資金規正法上、現在は政党のみが企業団体献金を受けることができるようになっていますが、何故そうなのかと聞いたところ、「政党本位の政治を実現していくため」といった趣旨の答弁がありました。平成6年の政治改革の中でそうなっていったのだということです。なお、私から追加的に「政党に限定したのは、(支部を含む)政党全体で企業団体献金をどの程度貰っているかを総覧的に見ていくことが出来るように、という意図はあるか。」と聞いたところ、そういう目的はないとのことでした。

 しかし、今、自由民主党は7400余の政党支部があります。地域によると思いますが、都道府県議、政令指定都市市議がそれぞれ支部を持っている所があります。これだと、それらの議員は個別に自分の政治団体+自分が支部長を務める政党支部を持っていることになり、政治資金面でも全く政党本位の政治の実現とは遠いものになっています。

 勿論、これは違法でありませんし、脱法とも言えません。完全に合法です。ただ、「政党本位の政治」という理念からは乖離があるでしょう。公職選挙法は議員立法の積み上げでやってきたので、高市大臣に答弁を求めることはしませんでしたが、自分自身の問題意識を述べさせてもらいました。

 最後に、選挙で公示(告示)後、討論会が出来ない理由について聞きました。私の経験では、日本の選挙制度では、有権者が候補者同士を見比べる機会がとても少ないのです。私は3回の選挙で、そういう機会は一度もありませんでした。

 しかし、今は立会演説会も行えないようになっています。第三者主催の演説会(討論会)は、公示後はすべてアウトです。行えるのは、個人演説会の合同版だけです(立会演説会との違いは非常に微妙ですけど)。その理由としては、昭和20年代の審議において「ある陣営から、他の候補者が来られないようなタイミングで、ゲリラ的に演説会を仕掛けられることを防ぐ」とか、「立会演説会をやっても、ある候補が演説をしている時はその候補の支持者だけが聞いていて、それが終わるとそれらの支持者は退室してしまい、次に演説する候補者の支持者が場内にドッと入ってくる。そういうことによって形骸化した。」とかいうことでした。

 それはそれで分からなくはないのですが、今後、有権者が18歳以上となっていくことに伴い、客観的に候補者を見比べるような機会をどんどん提供していくべきだと思っています。制度設計も含めてよく考えたいと思います。

 以上、渋めの公職選挙法、政治資金規正法に関する質問でした。