あれこれと出している質問主意書の答弁を解説交じりで紹介していきたいと思います。まずは、地方自治関係です。質問はココです。

 答弁はフルマックスで返ってきました。ほぼ全部答えてくれています。多分、総務省としても、むしろ緒方の質問を契機に事実を明らかにして、「借金返済用に渡した交付税は、きちんと借金返済用に使いなさい。」ということを地方自治体に言いたかったのではないかなと思います。

【答弁(下線部、太字は緒方が付したもの)】
一について
臨時財政対策債の制度が導入された平成十三年度から平成二十五年度までの間において、臨時財政対策債を発行した地方公共団体のうち、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第二条第三号に規定する基準財政需要額に算入された臨時財政対策債償還費の累計額と比較して、臨時財政対策債の元利償還額(満期一括償還方式(償還期限の満了の日において元金の全部を償還する方式をいう。以下同じ。)で発行している臨時財政対策債の元金償還に充てるための減債基金(地方財政法施行令(昭和二十三年政令第二百六十七号)第十一条第三号に規定する減債基金をいう。以下同じ。)への積立額(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十七の五第一項及び第二項の規定に基づき毎年度行っている地方の財政状況に関する調査において公債費として計上されたものに限る。)を含む。)の累計額が少ない都道府県及び政令指定都市並びにその差額については、次のとおりである。
北海道約三百十三億九千三百十二万二千円
岩手県約三百一億九千八百七万五千円
宮城県約三百六十四億五千百十一万七千円
秋田県約二百七十二億三千七百二十四万三千円
山形県約三百六十二億九千七百十万六千円
茨城県約三十七億四千六百四十万二千円
埼玉県約二十五億千五百五十九万六千円
千葉県約三百八十五億五千二百六十四万七千円
富山県約二十一億七千百六十七万九千円
岐阜県約百五十一億八百五万千円
静岡県約二百三十三億八千五百十六万二千円
滋賀県約四億九千三百六十六万七千円
京都府約百二十四億九千八百五十九万八千円
大阪府約百五十二億八百八十二万六千円
奈良県約二百六億九千二百九十二万九千円
岡山県約三十二億三十万円
広島県約百七十六億五千四百七十七万千円
山口県約七十一億三千六百五十六万二千円
香川県約四十億四千二百三十六万円
愛媛県約七十五億七千九百二万七千円
福岡県約三百九十五億四千七百五十七万二千円
長崎県約百八十四億七千六百十七万八千円
熊本県約七十三億八千五百二十二万七千円
千葉市約十八億二千九百九十三万四千円
相模原市約七億七千六百三十一万五千円
新潟市約十億六千四百八十二万円
京都市約二百十四億四千五百二万九千円
広島市約九十四億五千四百三十一万円
熊本市約十一億四千九百四十三万九千円

(解説)簡単に言うと、これらの道府県、政令指定都市は、借金返しのために国から地方にお渡ししたお金を別の目的に使って、将来、この額だけ借金返しの財源に穴が開く可能性があるということです(あくまでも「可能性」です。)。

 残念なことにネットの金額では我が福岡県がトップですが、福岡県よりも財政規模が小さい岩手、秋田、山形、奈良といった県の額も結構深刻です。なお、我が北九州市は出てきませんでした。

 そして、非常に面白い傾向に気づきました。「旧自治省出身者の知事」がいる道府県がほとんど出てこないのです(一部例外がありますが)。普通に「これはやっちゃいかんだろ。」という感覚をお持ちなのだと思います。

二及び三について
臨時財政対策債の償還額については、各地方公共団体の臨時財政対策債発行可能額(地方交付税法第十二条第一項の表道府県の項第十五号及び同表市町村の項第十六号に規定する地方債の額をいう。)を基礎として、標準的な償還条件に基づいた全国一律の償還条件により各年度の元利償還金を理論的に算出し、その全額を地方交付税の基準財政需要額に算入することとしている。臨時財政対策債を満期一括償還方式で発行した地方公共団体においては、地方交付税の基準財政需要額に算入された当該臨時財政対策債の元金償還額に相当する額を減債基金に積み立てていれば、当該臨時財政対策債の満期時においてその元金の償還に必要な財源が確保される仕組みとなっている。しかし、当該相当額を減債基金に積み立てていない場合には、当該臨時財政対策債の満期時においてその元金の償還のために減債基金以外の財源が必要となることもあり得る。
このため、政府としては、満期一括償還方式で発行している地方債の償還財源を確保するため、減債基金への計画的な積立てを行うことが財政運営上適切であると認識している。

(解説)かなりはっきりとモノを言っています。もう少しぼかすと思っていただけに意外でした。ここで「今のままだと、将来、借金返しに穴開きますよ。だからきちんとお渡しした分は、仮に今借金返しに使う必要がなかったとしても、基金に積み立てなさいよ。」と言っています。相当に強いメッセージです。

四について
一についてで述べた地方の財政状況に関する調査において各地方公共団体から報告された臨時財政対策債の平成二十五年度末における残高の合計は、四十四兆九千六百四十七億二千六百九十二万千円である。

(解説)
 これは確認までのことですが、今、全国の自治体が発行している臨時財政対策債の残額が45兆円。私が昔聞いていた数字よりも少なかったですけども、それでも膨大な額です。これの償還が、今後、地方交付税の一部を掘り崩していきます。あまりこの全体額が増えてしまうと、地方交付税の真水が減っていくのです。

 最後に一言。該当している各道府県、政令指定都市の議会では、本件をどんどん議論してほしいな、と思います。正に「将来へのつけ回し」でしょうから。