【以下はFBに書いたものを加筆、修正したものです。】

 NHK会長の「爆笑問題」に対するコメントを聞きながら、「NHKにはBBC(英国公共放送)のHARDTalkのような番組はやれないのか?」ということを考えました。

 世界的に注目される番組です。インタビュアーのスティーブン・サッカーが、各界の著名ゲストに節度を持ちながら極めて厳しい質問をぶつけます。勿論、その中には英国の閣僚も出演して答えにくい問いがどんどんぶつけられます。なお、それに対して、英国国民から批判が出ているのを聞いたことがありません。

 例えば、中東和平関連で、サッカーは「イスラエル政府関係者にも、パレスチナ関係者にも、反対側の視点に立って質問をする。それは職業人としてであり、自分の信条とは別物だ。」という趣旨のことを話していました。「誰に対しても、厳しい質問をぶつけてホンネの議論をする。」、それがBBCなりの「中立性」なのだと思います。

  日本に置き換えてみると、テレビ東京の選挙速報における池上さんのような報道をNHKがやれるかということに近そうです(もう少しバラエティ感を落とす必要があるでしょうけども)。NHK会長のこれまでの発言を聞く限り、そういう番組はNHKでは無理そうです。

 会長が「品位」という曖昧な表現で窘めた以上、今後、制作サイドはそれを「忖度」するようになるでしょう。いわば「抑止力」が機能するようになります。表現の自由に際しては、(私は無限に認めるべきではないと思っていますけども)この「抑止力」が怖いのです。

 同じ公共放送なのに、NHKとBBCは何が違うのか、それは法令上の問題なのか、組織文化の違いなのか、視聴者である国民の文化の違いなのか、ということを突き詰めて考えるべきです。とりあえずの思いとしては、「法制度的に、もう少しNHKを政治から遠いところに置く必要がある。」、「それ以上はNHKを見る国民側の受容度の問題。」ということだと思っています。