「うちわ」問題で、公職選挙法の「寄付」に関する規定が注目されています。

 まず、法務大臣のあの「うちわ」は公選法上は完全にアウトです。「討議資料」と書けば何でも討議資料になるのであれば、誰だってそうします。他方、丸い紙に穴を開けた「うちわビラ」については、これは全国の選挙管理委員会の判断でマルになっています。

 というか、それ以前の問題として、あのうちわは「事前運動のおそれが強い」という意味でも限りなく黒に近いグレーではないかと思います。「うちわビラ」については、そもそも告示(公示)後に証紙を張って使われる選挙本番ビラとして使用されていることが多いので、そういう場合ですと事前運動のおそれはありません。

 この辺りはなかなか難しいというか、比較的公職選挙法に詳しいと勝手に自負している私でも判断に悩むことがあります。そして、公職にある者のかなりの方がこういう公選法の規定を知らないというのが現実です。

 一例を挙げます。以前も書きましたが、よくある「会費」としての支出。先日、NHKクローズアップ現代が、地方自治体議員の政務調査費の支出先として「会費」が多いという報道をしていました。しかし、私がテレビを見ている限り、その「会費」は公職選挙法上での「会費」に当たらず、禁じられている「寄付」であるものが多いように見受けました。公職選挙法における「会費」というのは、「そこに参加する人すべてが負担している」というものです。

 なので、そうでない自発的に払っている「会費」というのはすべて公職選挙法が禁じる「寄付」に当たります。何故、NHKはその指摘をせず、ゴシップ的な「政務調査費で会費」的な切り口しかしなかったのか疑問を抱きました。実際に埼玉5区では、現職衆議院議員(与野党とも)が盆踊りに「会費」を出して、埼玉県警から警告を受けていました。

 私は持論として、「公職選挙法で禁じられる寄付については、それを行った者、要求した者の罰則を重罰化する。」というのが良いと思っています。厳罰によって人の行為を律するというのは一番最後の手段ですけども、これが一番良いと言わざるを得ないのが現状です。そうすると、すべての公職にある者が公職選挙法を学ぶようになるでしょう。

 多分、その結末として「うちわ」は絶対になくなるでしょう。そして、「会費も包んでこれないような議員など来てくれなくていい。」ということで、色々な会に議員が全く呼ばれなくなるでしょう。そうでなければ、どんな会でも明示的に「(真の意味での)会費」を定めるようになるでしょう。

 「白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき」の世界なのでしょうけどね。