産経前ソウル支局長が名誉棄損で在宅起訴されました。

 私が思い出すのは、(正確な引用は見つけられませんでしたし、記憶が定かではありませんが)ブレア元英首相や小泉総理が「自分が一国の指導者だと思う時は?」と聞かれて、「何をやっても批判される時」と答えたという話です。一国の指導者たるもの、どんな時も批判に晒されるのであり、それに右顧左眄しないのが指導者としての資質の一つであろうと思います。かつて、(一国の指導者ではありませんが)笹川良一氏が種々の批判を受けていた時、「有名税」と笑い飛ばしたというのも有名な話です。

 外国紙のウェブサイトに載ったコラムにまで、こうやって司直の手を入れようとすることはとても異常な事です。コラムの内容の真偽については私は分かりません。ただ、そのコラムに書かれたことが事実でないのであれば、単に論拠を挙げて「事実でない」と否定すればいいだけです。それを信ずるかどうかは、最後は読者や国民が判断することです。

 一番危惧されるのは、いわゆる「抑止的効果」です。大統領を批判する時は、それが大統領の気に入るかどうかを忖度しなくてはならない、というふうになってしまうことは表現の自由、報道の自由との関係で一番宜しくないことです(そういう意味で、私は昨今のNHK関係者の発言にも批判的です。)。

 産経前支局長は一切の反省、謝罪を拒否しているそうです。そうあるべきだと思います。日本は政府として、この件には強い姿勢を示すべきです。