コーカサスに位置するグルジアという国から、「うちの国をグルジアと呼ぶのは止めてくれ。英語で読むように、日本語でも『ジョージア』と呼んでくれ。」という申し入れがあり、今月末のマルグベラシビリ大統領訪日時にそういう方向で合意するようです(ココ)。

 この記事にもある通り、国の呼び名を変えるのは法律改正事項です。普通に聞くと「なんで、そんなことで法律改正しなくてはならないのだ。」と思うでしょう。「在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律」という法律がありまして、その法律に出てくる「グルジア大使館」という表記を「ジョージア大使館」に変更するためには、国会で法律改正審議が必要になります。ついでに言っておくと、政令改正ものでいうと、財務省、農林水産省、経済産業省、総務省といった幅広い役所の政令改正が必要になります。これは国会審議が要りませんが、閣議決定になります。

 一昔、この法律で採用されていた呼び名には、ちょっと変なものが幾つかありまして、「ノルウェー」は「ノールウェー」、「チャド」は「チャード」、「カタール」は「カタル」、「チュニジア」は「テュニジア」でした。どっちでも良いじゃないかと思うでしょうが、きちんとした文書にする際はその表記に従わないと上司から叱られていました。夜遅く、「緒方君、『マレーシア』じゃない。『マレイシア』だ。」と指摘を受けると脱力したものです。

 この法律改正、多分、給与関係の改正と一緒にやるのだと思いますけど、仮に単体でやろうとするととても奇妙なのです。改正事項は「グルジア」→「ジョージア」だけなので、外務委員会に付されても質問しようがないのです。せいぜいあり得る質疑としては、「グルジアはどちらかと言うとロシア語表記に近いが、それから離れて英語表記に近いジョージアに変更した際、ロシアは臍を曲げないか?」ということくらいです(これはこれで重要な問いですが)。

 ところで、この「グルジア」の呼び名について、私は2つのブログを書いています()。我ながら渋いことを書いているなと思います。初当選の数か月前に書いたものでして、選挙に向けて機運が盛り上がる中、こういうことに頭を巡らせる変なヤツでした(今でも変わっていません。)。

 ブログに書きましたけど、要するに「グルジア」の隣国は、結構、「グルジア」という発音に近い呼び名が多いです。一番近いイラン、トルコではいずれも「グルジスタン」です。本当に冒頭の要求というのは真実を反映したものなんだろうかと思ったりします。そこまで言うなら、もう「おたくの真の国名『サカルトヴェロ』で呼ぶから。」というのが分かりやすいアプローチのような気もします。

 「ジョージア」にしたら、絶対にアメリカのジョージア州との混乱が起こるはずだけどな、という別の心配もあります。私など、ジョージアと言われるとどうしてもこの曲が頭に浮かびます。

 今日のネタは、個人的な拘りとウンチクの域を出ません。しかし、国会での審議を要する法律改正事項ではあります。