フランスのオランド大統領が就任して2年強が経ちました。私の期待感は当初からあまり高くありませんでしたが、歴代フランス大統領に比して地味で力強さに欠けています。


 その歩みを私なりに(若干の恣意性を以て)纏めてみると、こんな感じです。


● 大統領選挙中、オランド候補は何度か「財政再建路線」に疑義を投げかける発言をして、政権発足時にはユーロ安に繋がった。しかし、その後、フランス財政の現実にかんがみて緊縮路線に転じざるを得ない状況(ユーロ圏は金融政策を欧州中央銀行が握っているので、いわゆるアベノミクス的な、国債の中央銀行引き受けによる通貨増→通貨切り下げといった策は取れない。)。


● 最初のジャン・マルク・エロー首相内閣は、共産党や左翼共同戦線は入閣しなかったが、エコロジストや左派急進党が入閣した。


● エロー内閣は何かと閣内不一致が目立った。


● 外交は継続路線が目立った。最近、話題になっているミストラル級強襲揚陸艦のロシア売却もサルコジ大統領時代に決まった話。オランド大統領として、低迷する国内の軍産複合体や国内雇用の事も考えれば「(ホンネはともかくとして)売却せざるを得ない。」といったところ。


● 大統領選挙では「原発依存を75%→50%まで下げる。稼働年数が長く、老朽化しているフェッセンハイム原子力発電所は廃炉とする。」と謳ったが、現時点まで特にその方向で具体的な動きはない(関連一括法の審議は今年末まで先送り。)。


● 既存政党で汲み上げることのできない不満が社会に蔓延する中、政界アウトサイダー的な極右国民戦線の伸長等があり、統一地方選で大敗した。


● 統一地方選挙敗退後、首相を党内最右派のマニュエル・ヴァルス内相に交代(ヴァルスは、野党右派勢力から「彼は我々と何が違うのだ」とまで言われている。)。エコロジストは連立を離れ、現在は政権批判に回っている。その後、欧州議会選挙では、極右国民戦線が第一党となり大敗。


● 与党社会党内には、左派を中心に「大盤振る舞い」を求める声が強い。しかし、フランスを取り巻く経済情勢にかんがみればヴァルス首相は緊縮・財政再建路線を取らざるを得ない。3年間で500億ユーロの歳出削減を打ち出している。最近、成長率の伸びが事実上ゼロという発表があったにもかかわらず、ヴァルス首相は「路線変更はしない」と強い姿勢を示している。


● 党内左派にアンチ・ヴァルス内閣の勢力が一定の力を持って存在しており、政府や党執行部は頭を抱えている。


 大体、こんな感じなのです。


 正に「Deja-vu」ですかね。あとは説明を要しないでしょう。