先日、外務省人事がありまして、そろそろ私の同期が幹部名簿に入ってきたなと思っているところです。1994年入省ですので20年選手です。


 人事を見ていると色々なサインがあるな、と思っていましたが、一つだけ挙げると「北方領土交渉を官邸直結でガンガン進める。」という意図を感じました。


 新欧州局長は、私が外務省に入った際の直属の上司でした。「いやー、しこたま叱られたもんだ。」と懐かしく思い出します。それはともかくとして、同局長は、第一次安倍内閣の総理秘書官で、直近も内閣官房の領土・主権対策企画調整室長で総理側近の一人です。北方領土、竹島の領土問題や、尖閣諸島をめぐる動きについてはプロ中のプロです。そして、それを支える新欧州局参事官はロシア課長経験者です。


 岸田大臣は今、ウクライナを訪問していますが、今、日本外交はウクライナ情勢関連で、対露外交では微妙な綱渡りを強いられています。対ウクライナ制裁も「お付き合い」はしていますが、実体的には査証関係のものに止めており、「見た目だけ制裁」の状態です。北方領土交渉を念頭に置いていることは間違いありません。


 かつてそれなりに関わった北方領土交渉、「ヒキワケ」を口にしたプーチンの頭にあるのは恐らくは歯舞・色丹の「2」でしょう。しかし、それではダメです。交渉は「2+α」からスタートして、何処まで「4」に近いところまで行けるかです。


 どう考えても、今回の人事は北方領土シフトです。早速、秋のプーチン訪日が待っています。この1年くらいが勝負だと思います。