何度も、何度もこのブログで書いていますけど、東京オリンピックでの建設需要に対応するために「技能実習制度」を活用する方向で検討がされています(ココ )。


 この制度の説明文章をそのまま使うと、「東京オリンピックに伴う建設需要等に対応するため、(途上国の)技能実習生へ技能等の移転を図り、その国の経済発展を担う人材育成を行います。」と言っています。意味として、これをおかしいと思わない人がいるでしょうか。


 技能実習というのは、本義として、実習生に技術移転を図るためのものです。制度の中に「労働コストを下げる」、「不足する労働需要に対応する」なんてことが想定されているものではありません。もっと言えば、本来は技術移転ですからコスト増の要因でしかないはずです。


 「建設需要に対応するために廉価な労働力が必要」、とてもよく分かります。何らかの対応をしなくてはならないでしょう。私は真正面から「単純労働者」の受入を議論すべきだと思います(今、直面している問題がそういうことなので。)。そこから目を背けて、本来意味合いの違う政策で補っていく弥縫策を積み重ねて行くことは、日本の将来を見た時にタメになりません。


 かつては「研修生」だったため、労働基準法が適用されずに「現代版蟹工船」とまで言われていました。今は労働基準法の適用が行われていますけど、逆に、そこまで行くのであれば「労働者」として扱うべきです。「労働者」なのかどうなのかがよく分からない状態で放置しているように見えてなりません。


 日本は人口減少社会です。現時点でも、労働力の足らない分野が出てきています。例えば、介護の世界では、従事者が足らないことをよく聞きます。そして、その介護従事者が今後の人口動態から見る限り、充足されていくことはないでしょう。労働力が不足している分野があり、それを日本人労働者だけで補えないのであれば、正攻法で「単純労働者受入」という話をしない理はありません。


 これはとても調整の難しい話であることは分かっています。しかし、今ならやれると思います。