フランスで極右国民戦線が伸長しており、恐らく、今後統一地方選第二回投票、更には欧州議会選挙で伸長することが予想されます。


 国民戦線は、党首マリーヌ・ルペンが柔らかなスタイルを打ち出しており、排外的な主張や過激な主張が見えにくくなっています。ただ、基本的なところは全然変わっていません。


 ただ、極端な主張をする政党というのは、一旦政権に入るとダメになっていきます。典型的なのが、オーストリアの自由党でした。党首ハイダーはイケメン、弁舌軽やかで、一時期とても人気がありました。そして、2000年の総選挙で、左派社民党が第一党になり、自由党が第二党、右派国民党が第三党でした。それまでは社民党と国民党の連立内閣でして、国民党のシュッセル党首は外相・副首相でした。総選挙では右派の一部を自由党に切り崩され、第三党に転落しました。しかし、シュッセルは「このままでは、いつまでも自分は首相にはなれない。」と思ったのでしょう。仰天の極右自由党との連立により(つまり、第二党+第三党での連立)首相になります。


 当時、シュッセル首相は「極右を政権に入れるとは何事か」と世界的に批判されました。欧州連合で、オーストリアは事実上制裁措置に近いことをやられていました。しかし、結果から見ると、連立入りを契機として自由党は衰退していきます。更には分裂等により、オーストリアの自由党は相当に力を落としました(最近、また力を盛り返してきていますけど。)。シュッセル首相がそこまで考えたかどうかはともかくとして、一番効果的な極右潰しであったとは思います。


 一般論としていえば、極端な主張をする政党は政権入りすると、勢力を落としていきます。似たようなケースとしてはフランス共産党があります。ミッテラン政権が出来るまでは、得票率20%近くに行く政党でしたが、ミッテラン政権で入閣したのを契機にどんどん勢力を落としていきます。今や、前回大統領選挙では単独で候補を立てることすらできませんでした。フランス共産党的な主張そのものが、時代の変遷によりウケなくなったということもあるとは思いますけど、私の眼には連立入りによる陳腐化というのが大きいと思います(なお、1997-2002の保革共存ジョスパン政権でも入閣しています。)。


 「そういう極端な主張をする政党は、一度連立に入れてみたらいい。」とまでは、国毎の政情があるでしょうから軽々には言えません。ただ、例えば、日本でも国政で非常にエッジの利いた主張をすることで人気を博している政党は連立に入れてみると一気に陳腐化するはずです。


 それだけ、政権運営というのは辛くも、厳しい道のりであります。


 私にはよく分かります。