TPPで、閣僚レベルでの折衝が激しく行われているようです。


(ちなみに最近は記事量、内容共に日本農業新聞が群を抜いておりまして、業界紙という制限はありますが、農業に留まらずかなり広範な内容を取り上げています。読者の農家の方々の厳しい目に耐え得る記事を書かないといけないのだと思います。)


 漏れ聞こえてくるところでは、「肉」での攻防がなされているようです。多分ですね、私が何度かこのブログに書き、かつ国会でも質問したように、牛肉という品目の中でも「出せる」ものを緻密に切り分けてやっているのではないかと思います。関税番号で枝番を付けて、細かく切り分けて国内生産に影響のないものでタマを出すことを提示しているのではないかと思います。TPP用の(輸入急増時に対応する)セーフガードなども検討されているかもしれません。


 豚肉についても、今の差額関税制度では輸出価格が低ければ低いほど、実際の関税率は高くなるという歪な制度であることを指摘されているようです。これも何度かブログに書きましたけど、豚肉の輸入制度というのは、脱税を促すように出来ています。ガイアツがないと改革できないというのは寂しいことですが、私は豚肉の輸入制度は早急に改革すべきだとずっと思っています。


 それ以外のコメ、小麦、砂糖、乳製品あたりはなかなか難しいですが、これについても同じく関税番号毎に検討して、場合によっては枝番を付けて、出せるものを検討しているはずです。国内生産のないもの、低いもの等は対象になってくるでしょう(輸入実績がないものというメルクマールはダメです。高い関税で守られているため輸入がないという可能性がありますので。時折、マスコミは輸入実績がないから関税撤廃してもいいだろうといった不勉強な報道をしていますが間違いです。)。結構、そういうものはないわけではないと思います。以前も書きましたが、砂糖・甘味を保護するために、メープルシロップに高い関税を掛ける必要はないのです。


 そして、未来予想ですが、政権与党は「聖域5品目の『中核的なところ』は守りきった」という国内説明に移ってくるでしょう。そういう雰囲気が既にプンプンします。


 別に自画自賛するわけではないのですが、概ね私がこれまでブログで展開してきた方向性と軌を一にしていると思います。そうならざるを得ないのです。


 そして、私は現職時代、そういう主張をしたことでかなり叩かれました。ある会で、現与党の議員から「そこにいる民主党の議員は極めて不謹慎なことを言っているが、我々は違う。」とネタにされたこともあります。それらの方々は、既に私の主張とかなり近いところにまで来ています。負け惜しみっぽくなりますけど、私がTPP慎重派の方々に言いたいのは「最初から最後までずっと同じことを言っている人間と、途中で何度も意見を変えた人間とどちらが信用できますか。」ということです。


 ところで、報道を見ていて気になるのは、「日本が何処を攻めているのか」という切り口が殆どないのです。守りの姿勢に徹しているような印象しか受けません。本当に攻めていないのであれば大問題ですし、攻めているのだけども察知できないのであれば、政権スピンドクターが妥結後のダメージコントロールをしようとしているのに乗っているわけでして、攻めていることを察知しているけど書かないのであれば、単なる自虐的なメディアでしかありません。いずれにせよ、とても気になります。


 最後に一つ、最近「大筋合意」という言葉がチラホラ出て来始めました。次回閣僚会合なのか、オバマ訪日時なのかは分かりませんが、「大筋合意」したというメッセージを追求しているようです。この「大筋合意」、時に危険なことがあるのです。本当に中身が詰まっていて「大筋合意」が出来るのならいいのですが、政治的なアピールとして、あまり中身がないのに「大筋合意」と謳ってしまうと、今度はそれに引きずられるのです。「大筋合意したのだから、早急に最終妥結しなくてはならない」という変な理屈に追い立てられてしまって、結局、大筋合意後に実質的な譲歩を迫られるということになってしまうのです。中身が詰め切れていない、政治的なアピール的要素の強い大筋合意は、厳に避けるべきです。


 ちょっと今日は見苦しい内容でしたね。すいません。