昨年、ちょっとある記事が私の目を引きました(ココ 、記事本体は既にありません。)。夏祭りでの祝儀が公職選挙法違反の恐れということで、埼玉県警が国会議員等に警告を出したというものです。


 この警告を受けた国会議員はいずれも弁護士です。弁護士ですら、この手の微妙な公職選挙法の解釈には難を抱えるくらい、公職選挙法というのは厄介な法律です。


 私は公職選挙法の寄付の禁止について、現職時代に一文を書いたことがあります(ココ )。色々な会に行って、何かしらの金銭を出していいのは、その場にいるすべての人に対して会費が設定されている場合のみです。そうでない、いわば自発的な金銭についてはすべて公職選挙法で禁じられる寄付に当たります。よく「会費」と封の表に書いて出せばいいと思っておられる方がいますが、「会費」と書けば、公職選挙法上の「会費」になるわけではありません。「会費」については、上記のように一定の要件を満たす必要があります。


 つまり、「会費制でない飲食を伴う会合」では議員関係者はタダ食いをしてきてくださいというのが、今の公職選挙法の求めるところです。それが社交辞令上良いかどうかはともかくとして、それくらいしておかないと非常に買収性の高い行為が「会費」の美名の下に行われていくという懸念があります。


 本当にこの法律を厳密に適用すると、日本の、特に地方での政治とカネの関係が相当に変化すると思います。もっと言うと政治文化を劇的に変える力があると思います。色々な各種会合を主催する方も、「タダ食いする輩を呼んでも仕方がない。」ということで、会合に議員関係者を呼ばなくなるかもしれません。それに伴って、議員関係者の動き方も相当に変わるでしょう。「カネの掛からない政治」の実現に向けた第一歩とも言えます。


 これを議会レベルで徹底しているところがあります。一番分かりやすいものの一つは、埼玉県加須市です(ココ 、他にもたくさんあります。)。市議会全会一致でやっているはずです。私はとても共鳴します。多くの自治体に広がっていけばいいなと思っています。


 率直な感情的には「ちょっとギチギチし過ぎだな」とも思いますけども、私はむしろこの公職選挙法の厳格な適用を求めるべきだと思います。公職選挙法で禁じられる寄付行為は一発で議員資格剥奪、公民権停止くらいになれば、誰もやらなくなるでしょう。そこまでやるのは本当は好きではありませんが、「政治にはカネが掛かる」という言い訳をさせないようにする、一つの良い手段だと思います。


 多くの方にはピンと来ないかもしれませんが、この「寄付行為の禁止」の厳格な適用と厳罰を行えば、間違いなく日本のローカルな政治文化(というか、政治家と選挙民の接し方)は劇的に変更を迫られるはずです。