【以下はFBに書いたものを加筆して転記しています。】
フランスのル・モンド紙に掲載されていた2013年世界の14大事件です。こうやって見てみると、日本人の大半の方は「欧州から見てみると全然違うな」と感じるでしょう。
少し解説を加えていきたいと思います。
●フランスのマリ介入
これはアルジェリア・イナメナスの事件に直結していたので、日本でも「なるほど」という思われる方が多いでしょう。
●ベネディクト16世退位とフランシスコの教皇即位
日本ではピンとこないでしょう。欧州では大きな出来事なのです。教皇が退位すること自体が過去にあまり例がないこと、アメリカ大陸出身の初の教皇、イエズス会出身の初の教皇と色々と教皇フランシスコの即位は驚きではあります。
●チャヴェス・ヴェネズエラ大統領死去
日本で殆ど取り上げられないのに、欧米では超有名人の政治家でした。反米姿勢がこれほど際立つ人間がこれから出てくるだろうかと思います。貧困層にとても人気がありました。
●スノーデン漏洩事件
これはあまり説明が要らないですね。グローバル化した世界の中では、一人の人間の行動によってこれほど揺さぶられることがあり、そしてこれだけ早く世界を情報を巡るのだということをまざまざと見せつけられました。
●ロウハニ・イラン新大統領誕生と核開発交渉再開
●モルシ・エジプト大統領放逐
●シリア化学兵器使用問題
中東情勢というのは、日本で考えるよりも欧州には身近に感じられています。日本にとっての朝鮮半島情勢と同じくらい深刻に受け止められます。その背景にはイスラエルという国があることが多いです。
イラン情勢は暫くは安定的に推移するでしょう。欧米のロウハニ大統領に対する期待感は相当なものです。逆にエジプトは、宗派対立に完全に火がついてしまいました。ムスリム同胞団への弾圧が続く中、これがアングラ化していくのではないかと気になって仕方ありません。そして、私が一番気になっているのは「北アフリカ総崩れ状態」になることです。アルジェリアが不安定化してしまうとエジプト、リビア、チュニジアを含めて北アフリカ総崩れです。
●気候変動に関する政府間パネルによる第5次評価報告書
非常に危機感ある報告書でした。内容はココ を参照ください。かといって、世界全体での温暖化ガス削減に向けた合意の機運は下がっていますね。なお、日本は京都議定書の単純延長を含む、先進国のみが義務を負うようなフレームワークは拒否していくべきだと私は思います。
●世界保健機構による大気汚染の発ガン性報告
中国の大気汚染は、欧州でも相当に取り上げられています。ただ、パリも相当に大気汚染がひどいですけどね。変な話をしますが、私はフランスに行った時、鼻毛が伸びるのがとても速かった記憶があります。大気汚染と何か関係があるのではないかと今でも疑っています。
●台風ハイヤンによるフィリピン被害
これは日本でも相当に取り上げられました。世界の気候は変わりつつあるのではないかと、日本でも思いますよね。ゲリラ豪雨なんて、私の小さい頃にはなかったような気がしますし、当地北九州で言うと、昔は起業祭(11月16-18日)に雪が降っていたのですが、今はそんなこともなくなりました。
●ウクライナ危機(EUとの関係強化拒否に対する国内の反発)
ウクライナは欧州から見ると相当に大国です。そのウクライナが欧州との連携協定を拒否し、ロシアとの関係強化に動くというのは驚きでした。すべて協定交渉を終え、後はリトアニアの首都ヴィリニュスでのEUサミットで署名するだけだったものを、ヤヌコヴィッチ大統領が方針転換したということですけど、相当にプーチン大統領がテコ入れしたものと思われます。
しかし、ティモシェンコ元首相が何となく反政府勢力のヒロインっぽく映っているのを見ると、それはそれで違うような気はしますけどね。
●マンデラ・元南ア大統領死去
これはコメントの必要がないでしょう。
●ホドルコフスキー釈放(ロシア)
プーチン大統領の、ソチ・オリンピック向けのサインでしょう。それにしても、ホドルコフスキーは何らかの取引をプーチンとしたのでしょうね。えらく物分かりのいいことを言っていました。お金は持っているでしょうから、後は悠々自適で暮らせ、政治に顔を突っ込むな、それがプーチンのメッセージではないかと思います。
●汚職問題によるエルドアン政権不安定化(トルコ)
エルドアン政権は好調な経済を背景に上手くやってきたと思いますけど、制度疲労が見え隠れします。汚職事件で3大臣が辞任し、大幅な内閣改造が迫られているというのは、少しずつエルドアン政権の終わりが見えてきているのかなというのが欧州の一般的な見方だろうと思います。
欧州、特にドイツにおいてはトルコ情勢というのは内政に直結するくらい大きなインパクトがあります。日本との間ですと、何となく親日というイメージだけで通りますけどね。
お気づきいただけたと思いますけど、東アジア情勢はゼロです。彼らから見るとその程度なのだということは、我々も肝に銘じておいていいでしょう。その覚めた目線が日本には欠けているといつも思います。