先日、自民党の「無駄撲滅プロジェクトチーム(PT)」、国会議員の海外視察(委員派遣)先が欧米に偏っているのは国益を損ねるとして、派遣先の見直しを国会改革のテーマとするよう申し入れた、と報道されていました。河野太郎さんが頑張っているようです。



 もう、15年以上前の話ですが、派遣先で最も多かったフランス大使館の片隅に居た身からすると、「正にその通り」なのです。シャルル・ド・ゴール空港がハブだということもあるのでしょうが、それにしてもフランスという国の位置付けを遥かに超える国会議員が来ていました。



 まだ、外交官補であって、私も同行員として色々やりました。エッフェル塔、モンサンミッシェルにかなり行きました。モンサンミッシェルは案内できるくらい詳しくなりました。また、パリの三越は店員の方から「プライベートでもどうぞ」と言われました。極端なケースでは、モンマルトル付近のピガール地区の案内もしました(どういう場所かはご想像にお任せいたします。)。大使館幹部も応対に大変でして、あんなに会食ばかり入ってしまうと体壊すのではないかと思うくらいでした。



 逆にアフリカ在勤時に来られたのは1名のみでした。私の在勤していた国は、それ程メジャーではなかったので仕方ないと言えば仕方ないのですけども、兼轄している国も入れれば6カ国担当です。もうちょっと来てもいいのではないかと思いました。既に最近は有名になっていますが、中国首脳はどんどんアフリカに来ます。共産党常務委員(最高幹部)クラスが来ますので、そのプレゼンスの高さたるや、当時から雲泥の差でした(私のいた国は当時台湾承認国でしたので、訪問先からは外れていましたけど、アフリカ全体として。)。



 もうちょっと戦略的にやっていいと思うのです。特に国会の議長、副議長。これは三権の長でランクが高いので、相手にもインパクトは大きいです。政府の閣僚とも上手く調整した上で、きちんと行くべきところに行くという発想を持つべきです。国会のお手続き上、「国会開会中はダメ」みたいなものがあるので、そこは今の国会改革の中で柔軟にすべきです(それは閣僚でも同じです。国会答弁を副大臣対応にする等、閣僚が一日中委員会室に張り付かなくてもいいようにしないと国益を損ないます。)。



 あと、目的意識をしっかり持つこと。私がある国際機関を担当していた時のことです。所在地に視察団が来ましたけど、やることがないので、その国際機関の長「にでも」会うかみたいな話になりました。「でも」「しか」で視察をやられては、アポを取り付ける側も大変です。通訳を配したりもしなくてはなりませんし、ともかく大変なのです。行って交流を深めるべきところ、行って本当に日本の政策に参考とすべきところ、そういうところを院全体で真剣に考えて計画を作るべきです。



 更には、大使館側に過度の接遇を求めないようにすべきです。人繰りが苦しい中、議員側も簡素な接遇とすべきです。これはあまり細かくは書けませんが、ちょっとでも簡素にやろうとすると、「オレをナメるな」と怒鳴る国会議員がいるのです。ある程度は自力でやれる気持がないと、いくら人がいても足りません。古い話ですが、私が東京で議員視察のアレンジ担当だった時、衆議院事務局に「観光地に行きたいなら、依頼書に『世界遺産視察』と明確に書いてくれ」と言ったら、衆議院側が「そこまでは書けない」と言ってきたので、そこは自力でやってもらうように現地に指示を出したことがあります。しかし、視察帰国後、上司は議員に呼び出されて怒られていました。



 ともかく、議員の海外視察は5W1Hを明確にすべきであって、何となく「国会が終わって夏になったから視察」ではダメです。その上で、もっと簡素にすべきです。