セネガルで首相が交代し、アミナタ・トゥーレ前法相(女性)が首相に任命されました。今日の主題とは違いますけど、世界的なシンガー、ユッスー・ンドゥールは観光・余暇担当大臣に再任されませんでしたね。ミュージック・シーンから引退すると宣言して政界入りしたのですが、これからどうするのかなと気になります。


 実はセネガルでは女性が首相になるのは2回目です。隣国のマリでも、昨年のクーデター直前までは女性が首相でした。意外に思うかもしれませんが、アフリカでは政界への女性進出が結構進んでいます。今はリベリア、マラウィでは女性が大統領です(2/55と言えば少ないといえるかもしれませんけど)。ちょっと特殊な事情ですけども、一番進んでいるのはルワンダ。これは20年弱前の大虐殺で男性人口が減ってしまったということがあります。


 中東諸国は少ないイメージがありますけど、17-8年前のトルコのタンス・チルレル元首相のようなケースもありますし(結構強烈なキャラでしたが)、イランでも10年強前にエブテカール女史が副大統領を務めていました。


 そういう個別の例を挙げるよりも、こちらの資料 を見ていただくと、議会(ここでは下院または一院をベース)における女性の代表性が日本では低いということがご理解いただけると思います。勿論、簡単に「議会」と纏めていますけど、単なる諮問機関に過ぎない国から行政を圧倒するくらいの力を持つ国まで色々ありますから一概には言えません。ただ、単純に並べただけではありますし、参議院も含めればもうちょっと多いのですけど、日本は123位ですというのはどう分析しても「少ない」という結果だと思います。


 内閣府の男女共同参画局の資料で、日本の状況を見るとなかなか一進一退だなと思います(衆議院参議院地方議会 )。特定の政党を批判する意図がないという前提で事実関係を言うと、2007年参議院選挙、2009年衆議院選挙では女性の国政進出が伸び、2010年参議院選挙、2012年衆議院選挙では下がっています。ちょっと面白いのは地方議会でして、都道府県議会では少ないのに、政令指定都市では相対的に多いということが読み取れます。政令指定都市に住む者として、「何が違うのかな」という気もします(基本的に政令指定都市では、道府県議も市議も行政区単位が選挙区となるので選挙区の広さ、選挙区民という意味では何の違いもないのですけど。)。


 こういうことを書くと、「人物・能力本位であり、性別は関係ない」という意見もあるでしょう。それは正当な指摘です。一方で、「女性が目指そうとしても、目に見えないハードルがあるのではないか」というふうにも思いたくなります。現職として3年3ヶ月経験した身からすると、やはり何処かに日本の政界にはマッチョな要素が求められるよなと思います。無制限、無尽蔵に自分のすべてを投入することが求められる中、例えば子育てとの両立が難しいということは否定できません。


 私はもっともっと女性が社会において活躍すべきだと思います。たしかに、大分、日本社会も変わってきているとは思います。自分の経験で言うと、私が福岡県立東筑高校に入学した際は男女比は2:1くらいではなかったかと思います(10クラスの内、男子クラスが4クラス)。それが今ではほぼ同数です。大学に入った時は、クラス60人で女性は4人でした。今は3割くらいまで来ていると聞いています。


 政界でどうしたらいいのかなと思いますけど、フランスのケースが参考になるのかもしれません。あの国も女性の政界進出が低かったことから、1999年にジョスパン社会党政権で憲法改正までしています。最初は第3条に入っていましたが、今は第1条に入っています。


【フランス憲法第1条】

La loi favorise l’égal accès des femmes et des hommes aux mandats électoraux et fonctions électives, ainsi qu’aux responsabilités professionnelles et sociales.

(法は、公選職及び選任職並びに職業上及び社会上の責任に対する女性及び男性の平等なアクセスを促進する。)


 それを受け、パリテ(平等)法を作って、例えば、国民議会選挙では、候補の男女差が二%を超えると政党助成金が減額されてしまうという規定にしています(各選挙について細かい規定があります。)。ただ、政党助成金減額をされてでも候補の男女差の解消をしない政党が多いです(特に右派)。直近の国民議会議員選挙で右派UMPは400万ユーロの減額、女性擁立に熱心な左派社会党でも50万ユーロの減額になっています。そういう事情はありますけども、この資料 を見る限りは法律を制定した後は確実に女性議員は増えています。


 いわば、アファーマティブ・アクションの一環なのでしょうけど、どうしても女性の政界進出が進まないのであれば、一つの考え方ではないかと私は思います。ただ、日本のような選挙文化では難しいかなという気もします。世襲議員が多く、地縁が濃いところでは落下傘候補が好まれない中、それぞれの地域事情を勘案した結果として、なかなか良い候補が見つからないということはあるでしょう。


 議員職と大臣職をあまり分けずに書きましたので、選挙で選ばれるポストと大統領や首相による任命ポストでは事情が違うだろうというご指摘はあるでしょう。その他、法律でこういうことを決めていくことについて、色々な批判があることは承知しています。私の意図は、もっともっと女性の政界進出が進んでほしいということであって、それはどういう方法でも良いと思います。