少額の随意契約について、昔からよく思っていることを書き連ねます。なお、事実関係のところと私の推量によるところがありますので、そこは分けて書きます。
随意契約というのは、例外的なケースで認められることになっており、その内の一つとして額が小さい時というのがあります。工事、製造関係では都道府県、政令指定都市で250万円、それ以外の市町村では130万円が上限となります。これは行政側の判断で業者を決めることが出来ることになっており、実務上は課長や係長が決定していることが多いようです。
これはこれで実務上、そうせざるを得ないのだろうと思いますし、異議を唱えるようなものでもありません。ただ、非常に不透明性が高いということを時折感じます。いわゆる議員の「口利き」の対象になっていることが多いのではないかということです。
何故、そういうことを思ったかというと、以前、県の選挙管理委員会に行って、政党支部の収支報告書を閲覧してみると、一部の政党支部にはいわゆる零細企業からの企業献金が非常に多いことを発見したからです。何度かこのブログにも書いたことがありますが、一部政党は政党支部の数が非常に多く、事実上、都道府県議、政令指定都市市議の方はすべからく独自の政党支部を持っているわけですが(これ自体、私は好ましいものとは思いませんが、違法ではありません)、その政党支部毎に非常に多くの零細企業からの献金があるのです。パターンとして多いのは、年6万円(月5000円)か年12万円(月1万円)です。
それらの企業が、当該政党や当該支部長の政治理念に共鳴して献金をしているのであれば、それは否定されるべきものではありません。しかし、それらの零細企業は財務の状況にそれ程のゆとりがあるとも思えず、年6万、年12万といった金額をおいそれと出すことが楽ではないはずです。ちょっと私の常識感からして、何かの背景がないとあり得ないような数です。
ここからは私の推量になりますが、少額随意契約での「口利き」とこの政党支部への献金はリンクしているのではないかと思うわけです。非常に雑な計算ですが、250万円の工事で利益率10%弱、その利益の中から一部を献金に回しているという事実はないのだろうかと思うわけです。それ以外の説明が私の中ではどうしても立ちませんでした。
こういう事態に対しては以下のような解決策があると思います。
① 役所から工事等を受けた企業からの献金を禁止する範囲を拡大する。
② そもそも「口利き」を禁止する。
③ 収支報告書のインターネットでの閲覧、公開を行う。併せ、少額随意契約についても受注業者を公開する。
④ 政党支部の設置を制限する。又は企業献金を受けることができる政党(支部)の範囲を絞り込む。
①と②はとても効果があるのですが、何となくですが、とても反対が強いような気がします(弱気ですいません)。しかも、②については現在でも許容されているわけではなく、よりアングラ化するだけのように思えてなりません。実は一番良いのは③です。今でも情報公開がないわけではありませんが、政党支部の収支報告書は、多くの都道府県では都道府県選管に行かないと閲覧が出来ず、そこまでやる手間を考えると情報収集が難しいのです。どんな政党支部があって、そこがどういう企業から献金を貰っているかが分かり、それを行政からの仕事の受注と照らし合わせることができればいいわけです。私は恐らく、献金をしている企業と少額随意契約を受注している企業との間には相当な正の相関性があるだろうと思っています。④は強烈なインパクトがありますが、国政の大きな課題になってきます。私はいつかこのテーマに真正面から取り組みたいと思っています。
少額随意契約は「額が小さい」ということと「役所の裁量で業者を決めることができる」ということで見えにくいのです。そこに不透明性が出ます。そして、業者の紹介というかたちで介入し、利益を得ている人間がいるとするならば、そこに何らかの対応をすべきだと思います。本当はダイレクトに手を着けるのがいいのですけど、意外に早いのは「情報公開」です。その公衆の目というのは、皆様が想像する以上に公選職にある者にとっては重く圧し掛かります。
どの自治体にもある少額随意契約、その不透明性とそれに伴う色々な宜しくない話には蓋をしたいですね。