6月1、2日で第5回アフリカ開発会議が開催されます。私は第2回の時に任地セネガルから呼び戻されて、東京に応援出張しました。色々とコミカルな話がたくさんありました。あまりあれこれ書くのは止めますが、豪快に三越の外商部の方を呼んだとか、100ドル紙幣札を大量に円に両替しにいかされたとか、まあ色々なことがありました。


 総理、外相はこの時期大変です。総理だけで40ヶ国の首脳と会うそうですけども、これはとても辛いです。第3回の小泉総理、第4回の福田総理も当時相当に疲弊したという報道を覚えています。会談毎にその国との個別テーマを短時間でブリーフして、それから会談していくのだと思いますけども、脳がパンクしそうになることでしょう。


 一つ気になるのは、この会談が「援助の陳情合戦」になってはいないかということです。そういうアプローチを取る中国を意識すると、ある程度援助の話をしなくてはならないのでしょうが、あまりそういうのは私は好きではありません。折角ですから、大局に立った話をしてほしいなと思います。


 そういう中、総理はキックオフとしてタンザニアのキクウェテ大統領と会っていました。とても良い選択だと思います。何度も書いていますが、習近平もオバマも訪問先に入れるアフリカで注目される人物です。さすがに外務省も、そのあたりの国際的な相場観は無視できないということでしょう。


 ただ、報道を見ていると、二国間投資協定、道路・灌漑施設のための援助みたいな話がなされたとなっています。それが全部悪いとは思いませんけど、2015年に任期が切れ、その後もアフリカ全域で更なる活躍が期待されるキクウェテ大統領との会談を二国間案件だけで終わらせているとしたら、ちょっともったいないなと思います。彼は軍人であり、かつ外相時代に大湖地域の紛争解決に活躍した人物ですから、アフリカにおける紛争問題について話を振るのが良いような気がするのです。ちょっと持ちあげつつ、ソマリア、スーダン等で「日本に出来ることは何か」と話をすれば、意を得たりという感じになります。


 何人かのアフリカの首脳については、そういうアプローチの方が有効でしょう。全部が全部、陳情合戦とそれに対する日本の援助の話で終わらせるのはもったいないです。例えば、ブルキナ・ファソのブレーズ・コンパオレ大統領は今、マリ情勢の調停役をやっています。西アフリカでは最古参になりつつありますから、同大統領との間ではマリ情勢について話してもらうのがいいように思います。逆に対ブルキナ・ファソ援助の話は、大臣や事務レベルでやってもらえばいいでしょう。


 絶対にやってはいけないのは「中国との札束合戦」です。こんなにアホらしいことはありません。そうではなく、日本なりの良い理念と良いアプローチを打ち出していくことがとても大切です。中国は内政不干渉という一見格好良いお題目を持っていますが、逆に言うとガバナンスや地域情勢は脇に置く傾向があります。各国のガバナンスに立ち入るのは機微ですけども、紛争問題についてきちんと関与、貢献していく気持ちを打ち出せば、「やっぱり日本は違う」という受け止めになると信じています。


 ちょっと綺麗事ばかり書きました。きっと現場は大混乱だと思います。日本的感覚で会談等の時間をきっちり進めようとすると、かなり尻を叩かないといけないんですよね。これが大変なのです、ホントに。