以下はfacebookに書いたものを少しだけ敷衍しました。


 少し中長期的な課題になりますが、マリ、アルジェリアのみならず、サハラ砂漠地域を安定させるためには、トゥアレグ族対策が大事ですね。


 トゥアレグ族はモーリタニアからニジェール、リビアくらいまで散る「国を持たない民族」です。勝手に欧米諸国が引いた線のために分断されてしまった悲しい物語がたくさんあります。マリの首都バマコで見たトゥアレグの物乞いの顔が忘れられません。どの国でも虐げられ、そして貧しく、しかし誇り高き民族です。そして、どの国でも何らかの反政府活動をやっています。一緒にしてはいけませんが、同じ国を持たない民族としてイラン、イラク、トルコに亘って住むクルド族と被るところがないわけではありません。


 ということで、「トゥアレグ族」という切り口で彼らをサポートする枠組みというのは考えられないのかなと思っています。勿論、トゥアレグ族は各国で反政府活動をやっていたりするので、変なやり方をすると関係国が反発をします。ただ、各国の主権を尊重しながら、しかし、各国のトゥアレグ族を盛り立てる事は可能ではないかなと愚考しています。

 いずれにせよ、彼等がゴタゴタする限り、あの地域の安定は絶対にありません。そして、そこに乗じて上手く利用しようとする人達がまた出てきます。カッザーフィーがトゥアレグ族を傭兵として使ったり、過激なイスラム主義者が寄生したりします。レザー・シャーやサッダーム・フセインに利用され、最後は裏切られていったクルド族とここも被ります。


 そういう視点から、トゥアレグ族を盛り立てるイニシァティブを日本が出すのは一案じゃないかと思います。武装解除から始めて、基礎的なインフラの整備、政治体制の中でのトゥアレグ族の位置づけ等、経済、社会、政治すべての面で彼らの立場向上を図るアイデアは悪くないと思います。ある程度、事態が推移してくれば、国際社会の何処かからサハラ砂漠の不安定要因たるトゥアレグ族対策を打つ発想は必ず出て来ます。早目に手を挙げた者勝ちだと思うんですけどね。


 なお、日本人で昔から砂漠の遊牧民族トゥアレグ族に注目して、自分の専門分野に取り込んできた方がいます。この画像この画像 を見てください。「さすが」と思いましたね。