午前中、先のエントリーにある消費者安全法案の質問をした後、午後には特例公債法案の質問をしました(ココ )。与党議員で一日に2回質問が回ってくるのは稀だと思います。私は、質問の希望聴取があれば自動的に「はい、やります」と返事をするように事務所に指示を出しているので、委員会が重なるとこういうことがあります。まあ、野党の先生方はダブルヘッダー、トリプルヘッダーは当たり前ですから、2回くらいはさらっとこなせるようでありたいです。


 あと、いつもの自慢になりますが、2委員会分の質問があったにもかかわらず、質問出しに要した時間は全部で2時間半強でした。私の質問のせいで残業が増えたとは絶対に言わせません。質問出しの遅い議員は与野党問わずいます。ある国家公務員の方曰く「全体として見れば、最近は与党議員の方が遅いんですよ」とすら言われました。本当にケシカランことです。また、夜10時、11時まで質問通告を待たせた揚句に「国政全般に関すること」としか通告がないというケースもあります。よく国会審議で、突然の質問で大臣が途方に暮れているところに、議員が「通告してますよ」と畳みかけていることがありますが、まあ、えてしてこの類が多いです。ただ、うちの党の諸先輩にもこういう振る舞いをした方がいるから、今、倍返しされているのだろうと思います。今任期中は「自業自得」として受け止めなくてはならないんでしょうね。いずれにせよ、質問の内容はともかくとして通告時間が遅いのだけは看過してはなりません。


 特例公債法案というのは、簡単に言えば、借金をするための法律です。日本の予算は借金をしないと回らないようになっていますから、これはいずれは通さなくてはならない法律です。それがないと予算執行ができないわけですから、第二の予算審議みたいなものです。しかも、形式が法律ですから衆議院の優越がありません。


 私は本来、この法律は予算と同じタイミングで成立させるべきだと思いますし、政権はそのために最大限の努力をすべきです。私の後の自民党の山口俊一議員が「特例公債法が通らなくても、9月までは持ち堪えられるみたいな声が政権中枢から聞こえてくるが、それなら予算関連法案にしなければいい。そういう発言が聞こえてくること自体、責任感が足らない。」と述べていましたが、私も同感です。


 そういう問題意識を踏まえた上で、私から以下のような事を聞きました。答弁については映像を見ていただければと思います。


● 特例公債法案がこの時期まで成立していないことをどう思うか。国債の利率との関係でもっと強い懸念を持つべきではないか。

● 特例公債法案によって予算の執行に支障が生じるというのは、恐らく現行憲法が想定していなかったことだろうと思う。予算における衆議院の優越、政権は衆議院の信任に依る、といった憲法の本義が、特例公債法、問責決議といったツールで妨げられていることをどう思うか。


 また、今般、特例公債法案は少し修正されました。原案では、基礎年金国庫負担分の2.5兆円については交付国債を発行することで埋め合わせ、将来の消費税でその国債を償還する(チャラにする)という手法が用いられていました。交付国債とは分かりにくいですが、国債を発行して現金を調達してその現金を年金の国庫負担に充てるのではなくて、国債をそのまま年金機構に借金のカタとして渡し、必要に応じて現金化して取り崩すというイメージです。2.5兆円分について、年金機構のバランスシートに現金が乗るか、国債という資産が乗るかの違いになります。交付国債の場合、単に新規の国債を借金のカタとして年金機構に渡すだけで直ちに財政のバランスシートに乗ってきません。これを野党からは粉飾予算と批判され、結局、修正でこの手法は取り下げ、普通に国債(年金つなぎ国債)を建てるやり方になりました。


 私からは以下の質問をしました。五十嵐副大臣の苦渋の答弁が印象的でした。やっぱり、今年も予算の半分以上は借金になってしまいました。しかも、これは復興特会での復興債は除いてですから、これらも含めると今年の予算に占める借金の額は半分どころではありません。

● 結果として、今年度予算の国債発行額、公債比率はどの程度か。

● 交付国債というのはやっぱりトリッキーな手法ではなかったのか。


 更には以下のような質問をしました。これはちょっとテクニカルですが、国債の発行に跳ね返って来る額は尋常でないものがあります。

● 今回立てるつなぎ国債は、2年後からの消費税増分で賄うとしているが、ということは、これから2年間の基礎年金国庫負担分5兆円分は未来永劫的に穴として空き続けるのではないか。→消費税増のフレームワークの中で20年で償還していくことになっている。

● このつなぎ国債について、償還のための定率繰り入れをしないのは何故か。→一般会計からの繰り入れをせず、消費税のフレームワークの中で処理していくため。


 最後に特例公債法案とは関係ないのですが、日本の膨大な公債を賄うために積み立てている13兆円強の減債基金について質問しました。これは将来の償還に使われることが決まっているものなので取り崩す余地は一切ないものです。しかし、これに対して「積立金」みたいな呼称を使っているケースがあり、それだとあたかも取り崩せるような印象を与えてしまうので、呼称のレベルで誤解がないようにしてほしいということを五十嵐副大臣に要望しておきました。ここはもうちょっと前向きな答弁をしてくれても良かったのになあ、と思わなくもありません。現在、一部野党から「取り崩せ」という主張が来ていることは事実なのですから、「これはそもそも取り崩せないものです」というのを呼称のレベルでも工夫することは出来るはずなんですけどね。


 まあ、これだけを20分でやるのはなかなか骨が折れました。もう少し質問はゆっくりやるべきものなんでしょう。まだまだ鍛錬が足りません。