19日夜、党内の議論が佳境を迎えておりました。議論の中身を紹介することは出来ないので、私が何を言ったかだけを書き残しておきます。かなり終盤での発言でした。一部の議員には好評、一部の議員には不評でした。私は「賛否が出ない言論というのは意味がない」という持論を持っています。


 なお、この手の会議で「どのグループとも円満な人間関係を維持したいから」という思惑かどうかは知りませんが、日和見を決め込む議員が時折います。私はそういう人を全く評価しません。賛成であろうが、反対であろうが、意見をきちんと表明する議員を私は高く評価します。私の好きなヴォルテールの言葉、「Je ne suis pas d'accord avec ce que vous dites. Mais je me battrai jusqu'a la mort pour que vous ayez le droit de le dire.(私はあなたの言っていることに賛成しない。しかし、あなたがそれを言う権利を持てるよう、私は命を賭して戦う。)」をもう一度噛み締めました。


● 「特別会計をきちんと精査すれば、もっと財源は出てくる」、私もそう思う。ただし、それには痛みが伴う。私は2年弱前に事業仕分け第三弾で特別会計仕分けの主査をやった。国土交通、農林水産を中心とする特別会計について、かなり大胆に「廃止」、「予算削減」を判定したことを懐かしく覚えている。


● 自分としては「民主党が掲げた特別会計改革を大胆に進める原動力となれてよかった。評価してもらえるだろう。」と思い、党内に戻ってみたらボロカスのように言われた。そこに具体的な痛みが生じたからだろう。「おらが街の○○が削られるのに反対」を言いながら、特別会計からの財源捻出などできない。この手の話は「総論賛成、各論反対」になりがちだが、それはただのポピュリズムである。


● 消費税については、この期に及んで「誰が賛成、誰が反対」ということなど関心はない。ただ、目の前にある現実を見る必要がある。消費税の話は既に争点化されている。争点化されているということは、社会全体がこの話をある程度織り込んできているということである。今、この話が成立しなければ、それは国債市場に対して「償還能力に疑義」というサインを送ることになる。結果として、国債の利率に跳ね返るだろう。今、仮に1%利率が跳ねれば財政負担は兆単位で増える。


● このリスクは確実に存在する。もしかしたら国債の利率が跳ねないということもあるのかもしれないが、跳ねる可能性は勿論ある。起こる可能性が10%だとしてもそのハザードが大きい以上はリスクは膨大なものとなる。その膨大なリスクを背負える議員がここにいるのか。(自席の周辺から「財務省の手先になって、俺たちを脅すのか。」、「何処を見て政治をやっているのか。」とのヤジあり。)


● このリスクが既に厳然と存在する以上は、もう成立させないという選択肢はない。争点化した段階で、望むと望まないとに関わらず、我々に残されている選択肢はフォロワーシップを示すことだけである。そうでない選択肢があるというのであれば知りたい。


● 「そんなことを争点化したこと自体がけしからん」、それは理屈としては分かるが、争点化したのは我々が本会議で選んだ野田佳彦という総理大臣である。野田佳彦という人物が総理大臣であること、そしてその総理が消費税の問題を争点化したことをこの場であれこれ言っても仕方ないわけであって、我々はフォロワーシップを示して成立させるしかないのである。


 社会保障の中身については時間の関係上触れられませんでしたけども、思いがないわけではありません。それは別途書きたいと思います。