15日、財務金融委員会での質問に立ちました。松下新金融担当大臣への質疑ということで、「当たらないだろう」と思って手を挙げたら当たってしまいました。ありがたいことです。


 いつもここで書きますが、今回も質問出し自体はとても速かったです。行革を強く訴えている割には、質問出しが遅い議員の多い政党があります。「そういうのを羊頭狗肉と呼ぶのだ」といつも思いますし、そういう政党が語る行革にはリアリティがありません。私は質問出しのいつも遅い議員にはとても辛辣です(時折、特別事情で遅くなるのは仕方ないです。)。


 あと、これも自己訓練だと思ってやっているのが「原稿を読まない」というスタイルです。これまで20回弱、国会での発言の機会がありましたが、一度として原稿を作ったことがありません。せいぜい発言項目くらいまでです。ただ、これは欠点がありまして、ちょっと内容が薄くなりがちだということです。私の限られた記憶力の能力を超えてしまうと対応できない部分が出てきます。


 質疑についてはココ をご参照ください。質問内容は、①欧州金融情勢、②TPPと日本固有の制度、③小規模郵便局への社内監査、といったところです。


 ①は、端的に言えば欧州の銀行の中にはバランスシートがとても悪化しているけど、その事が十分に透明性あるかたちで情報公開されていないところがあるのではないかということです。スペインの銀行に対して10兆円の資本増強のコミットをしたのに利率が7%越えをしているのは、実態が悪いことに加え、何処かで「まだ悪材料があるのでは?」という懸念を持っているのではないかと思うわけです。


 バーゼル1、バーゼル2といった国際的ルールは定められていて、EUの中でも指令というかたちでルール決めがされていますけども、金融規制自体は各国に委ねられています。結局、運用のところで相当に国毎の差があって、十分な取組がなされていないところがあると疑っています。私はEUが統一的に一度、検査した方がいいと思っています。日本はIMFの資本増強に600億ドルのコミットをしており、かつユーロの弱体化がそのまま円高に繋がっていることからも、ステークホルダーの位置にいると思います。だからこそ、金融担当大臣はマーケットの懸念払しょくに努めるよう欧州に強く言うべきというのが私の質問の骨子です。


(注:ちなみに、私はあの600億ドルをバカ正直に拠出したことには批判的です。ここぞとばかりに、対EUで抱えている案件に言及して「これこれについて対応してくれるなら出してあげる」と言うべきだと思いました。あちらさんは不愉快になると思いますが、それくらいはすべきだと思います。なお、こういうのは官邸の仕事でしょう。)


 ②ですが、共済や郵貯、簡保はよく「民間とイコールフッティングが確保されていない」という批判をされていますけど、その確保されていないものは何なのかという根源的な問いです。結論から言うと「あまりない」ということです。共済は昔から日本社会にある頼母子講の発展系みたいなものですが、別に国から特別な権限を貰っているわけではなく、ましてや国からお金をもらっているわけでもありません。根拠法によるものについては若干の参入障壁があると思いますけども、相互扶助の精神でやっているものをその事実だけを以て「けしからん」と言われるのも変な話です。共済との関係で保険会社が何か特筆すべき不利な状態に置かれているのであれば、その事実を示すべきというのが私の見解です。


 郵貯、簡保については「闇の政府保証があるではないか」と言われますけども、例えば郵貯は預金保険料を払っており、仮に何か問題がある場合にはその範囲でのみ保証されるというのは既に累次答弁がなされています(もっと言うと、1990年代後半の銀行破綻の際に国は救済に出ているわけです。)。「闇の政府保証」がないのと仮定すると、それ以外に何かイコールフッティング以上に優遇されているものがあるとは思いません。むしろ、イコールフッティング以下に冷遇されているものが結構あります。預金額1000万円、簡保1300万円というのは「逆イコールフッティング論」が惹起されるでしょう。また、ユニバーサル・サービス自体がコスト要因でしょうし、質問でも触れましたが、例えば銀行では両替は有料ですが、郵便局では無料であることもコスト要因です。それを「勝手に自己判断で無料にしているだけ」と切り捨てることはできないでしょう。


 とどのところ、私が思うに「国営でやってきた中で大きくなった郵便局の存在そのものがフェアでない」ということがイコールフッティング論の源泉のように思います。であれば、イコールフッティング論者は、日本政府による庇護を受けて大きくなったアフラック、アリコも叩くべきですし、フランスのルノーは国有化の時代が長かったですが、それを批判することもやるべきです。「かつて国営であった」、「図体がでかい」ということを根拠に「イコールフッティング論」を展開するのは筋が悪いと思いますね。


 私がTPPに臨む基本原則は数回前のエントリーに書きました。あの五原則に共済や郵貯、簡保はほぼ当てはまらないような気がするのです。そして、歴史的な積上げからなる制度にはそれなりの事情があるわけですから、その積み上げをアンフェアというのはピンと来ません。


 ③は、2名しか職員のいないような小規模郵便局にあまりコンプライアンスで無理を言いすぎてはいけないということです。くれぐれも誤解のないようにしておきますが、私は不正防止におけるコンプライアンスはとても大事なことだと思っていますし、それを軽視していいとは思っていません。むしろ、私を個人的に知る方は私がこういう分野にうるさい人間だということは分かっていただけると思います。特に違反措置に対する郵便局会社内の監査の体制が、若干過剰なのではないかという事例を耳にしたので、あえて郵政担当相でもある松下大臣に問題提起だけしておきました。


 これで財金では3回目の質問です。特別会計法の改正が上がってきたら、もう一回くらいやらせてほしいなあと思っています。